水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

明暗ユーモア短編集 (3)画素数(がそすう)

2021年12月09日 00時00分00秒 | #小説

 テレビも4Kとか8Kと呼ばれるKが多く、^^ 画面が奇麗に観える時代に移行しようとしている。科学的には画素数(がそすう)が多くなった・・ということらしい。私には、さっぱり分からない。^^ まっ! 奇麗どころの若い女優さんが登場するCMを観ていると、ほう! 奇麗で可愛いや…などと違った意味で映像を奇麗に観てしまう訳だが、年老いた女優さんなんかだと、どうなんだろう? …と、ついつい思ってしまう。^^
 とある家庭である。
「どうも画面がチラつくっ! どれどれ、少し暗くするか…」
 風呂上がりの父親が缶ビル片手にソファーに座った。しばらくするとリモコンを手にし、メニュー機能を弄(いじく)りながら画面の明暗を変え始めた。そこへ高校二年の息子が現れなくてもいいのに現れた。^^
「父さんっ!! 4Kなんだからっ!」
「4Kがなんなんだっ! 4Kか8Kか16Kか知らんがっ、チラつくもんはチラつくんだっ!」
「僕は、このままが明るくて観やすいんだからっ!」
「お前は観やすいんだろうが、俺は観にくいんだっ!」
 そこへ父親にとって現れて欲しい母親が、ツマミの小皿を運んで現れた。
「おっ! すまんな…。そこへ置いといてくれっ! 母さん、お前はどう思う? 画面、観にくいかっ!?」
「私? 私はどっちだっていいわよっ! 大して観ないんだから…。豚也(とんや)は勉強部屋に小型があるでしょ! それで観なさいっ!」
「分かったよっ!」
 息子の豚也は渋々、勉強部屋へと撤収した。
 このように明暗の好みには、人によって違いがある訳である。^^

                   完


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