水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

助かるユーモア短編集 (72)正義感

2019年08月29日 00時00分00秒 | #小説

 正義感が育つのは、やはり子供時代だろう。昭和30~40年代に育った子供達にとって、正義の味方は格好いいヒーローだった。バッサバッサと悪を薙(なぎ)ぎ倒し、いつの間にか格好よく消え去る・・こんなヒーローに憧(あこが)れ、子供達はいつの間にか正義感を抱(いだ)いたのである。私もそんな中の一人だが、^^ 今のヒーローは、余りにも現実離れしていて、実感に乏しいのが大半だ。ということは、正義感も今一、湧(わ)かない・・ということになる。湧かなければ心に残らず、単なる番組に終始してしまう。これでは真の正義感が人々に浸透せず、世の中は悪びれて助からない・・ということになる。^^
 とある公園である。二人の老人がベンチに座り、話をしている。
「いやぁ~、あの頃は次の週が楽しみでしたよっ!」
「そうそう! なんといっても、正義の味方でしたからなっ!」
「はいっ! そこへいくと、今の時代はコレ! というヒーローに欠ける!」
「欠けてます、欠けてますっ! 全然、憧(あこが)れのヒーローがいやしないっ!」
「ですから、正義感も育たないっ!」
「現実離れしたSF的なヒーローですからなっ!」
「そうそう! ただのドラマ、映画の中の登場人物で終ってしまいますっ!」
「まったく、同感ですなっ!」
 二人は意気投合してベンチを格好よく立つと、ヒーローになった気分で格好よく去った。
 今の時代、庶民が助かるような正義感のあるヒーローの登場を、人々は待ち焦(こ)がれているのかも知れない。^^

                                


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