先日こんなおはなしが聞けた。
野生動物を助ける獣医師のお話だ。
心に残ったことを書き記しておきたい。
野生動物(きつねや狸など)を助けても誰からも感謝されない。
農家からも奥さんからも嫌な顔されるし、当の動物だってわかってくれない。
ある時はあごが砕けたきつねをなおしてやったら、
放してやったらしばらくするとこちらを見る。
感謝しているのかと思っていたら、
突然こちらに向かって走ってきて、がぶりとすねをかみつかれた。
なおしてやったあごで、である。
野生動物を見つけて
「助けてください」
と持ってくる人は
おもしろいことに小学4年生以下と65歳以上の人だけなんだそうである。
この年代の人は未だ「(生物としての)ヒト」なんであって、
その後「人間」になるのだろう、と思うとのこと。
4年生までの子どもは純粋で心から動物のことを心配し、
獣医に預けた後は意気揚々と「善いことをしたぞ」と誇らしげに帰って行くという。
そうなんだろうなぁ、
こういう純粋な時期の子どもの心を大切にしてやりたいなぁ、
とつくづく感じた。
もうひとつ。
家族の中に父親がいるのは狸ときつねと人間だそうで、
きつねを見ていると人間のことがわかるのだそうだ。
母親は本能で育てているけど、父親は役目柄で動いているらしい。
ふだんきつねの父親は所在なくショボイんだそうだ。
餌をとってくると母親がおだてる仕草をするらしい。
そうすると生き生きしている。
子どもはある時期父親のまねばかりするときがある。
そのころの父親はヒーローでかっこいい。
父親もいろんなことをして見せ、輝くのだそうだ。
そうだろうなぁ、母親がくさしていたら男なんて全くダメだ。
賢い女性とは、その辺ができる女性なんだろう。
また、思った。
自分の家の下の子どもはお父さんのようにおなかが出ている、ことを自慢している。
ありがたいなぁ、と常に思っているが、そういう時期がきつねにもあるのか、と思った。
また、親が泳ぐと子どもも泳ぐきつねになるし、木登りをする親の子どもは木登りをするきつねになるのだという。
遺伝も重要だが、教育も大切なんだなぁ、とぐうたら父親の姿を見せている自分を省みた。