ガッツ藤本(藤本正人)のきょうのつぶやき

活動日記ほど堅くなく、日々の思いをつぶやきます

『振り返れば未来』

2024-08-22 14:08:59 | 本・映画など

柳瀬地区の私の後援会役員さんは、篤農家(とくのうか)の方ばかりである。

「ウクライナの戦争があって一気に値上がりするのからもわかるように、食糧輸入と石油に頼るのは危険です。日本は自給率38%、食糧安全保障という意味でも環境保全の意味でも、農業に光を当てて地産地消を進め、自給率も高くし、あわせて有機農法を広げていきたいんです。
国も『みどりの食料戦略システム』を出しました。武蔵野の落ち葉堆肥農法も世界遺産になりました。巨大消費地に一番近い所沢です。今がチャンス。
農業に力を入れていきたいです!」

私がそういうと、その中のTさんが、いつもこういわれるのだ。

農業はやっても損するばかり、他の収入で賄って何とか続けられるだけ。
農業はそういうもんなんだよ。」

また、Kさんもこういうのだった。

農業を支援するより、農家を支援してほしいんだよね。」と。

そんなに農業は農家にとって負の遺産なのか?!

それじゃあ、国なんて もたないじゃないか?! 

農業ではなくて、奉仕じゃないか!(それでも、ご先祖様からの土地を守るために、農作物は作るが、生計は他から得るしかない。)

全ての人間にとって、不可欠な「食」の仕事がそんなことってあるものか!?

それでは亡国のシステムではないか?!・・・

これが私にとって、ずっとひっかかっている疑問であった。


が、農民作家の山下惣一さんの本を読むと、どうもそうらしいのである。

それも、日本だけでなく、どこの世界の農民も、である。(例外もあるが)


山下さんは指摘する。

全農家の平均年収は全産業の1/3しかない。(1990年頃)
(平均を100とすると、500人以上の製造業世帯年収の平均が125、あとは平均以下で100人~499人規模のそれが90,30人~99人規模のそれが74,5人~29人規模のそれが60,農業に至っては3ha以上耕す農家のそれが55,2ha以上だと45なのだそうだ。それは、農業は一軒当たり労働者数は2,5人。他の産業は1,6人での比較である。また、専業農家は農家の15%しかいず、85%が兼業であり、かつ、その内訳は、農外収入中心が70%、農業中心は14%しかないんだそうだ。)

だから、農業は割に合わない。だから、兼業で補うしかないのだ、と。

う~ん、たしかに、

東北の農家は冬に出稼ぎに行く、とはよく聞いていた。

酒蔵の杜氏さんもみなそういう立場だ。

〇〇さん家は専業だからきついよ、とは所沢の農家でよく聞く話である。

そして、必要度が高い職種だからといって、給料が高いわけではない、というのも事実である。(コロナで福祉、介護関係に対し痛感したことである)

逆に、絶対に必要だからこそ、安く抑えられている。

それが、さらに安くを追求されて、成り立たなくなろうとしている。

また、化学の力に頼るしかなくなって、機械化で借金もかさみ、環境も破壊するようになった。

つぶれない農業、を 百姓としてどう見出すか?!

これが、山下さんの課題であった。

山下さんは、最後にこう解を導く。

百姓は定住民。持続を旨とするしかない。
市場経済3:地域経済3:自給経済4ぐらいでちょうどよい。
そもそも、農業は工業と同じ土俵で考えてはいけないもの。

だから、「大規模化せず、有畜小農複合経営で行こう。と。

『振り返れば未来』

それは、土を大切にする農の原点に返ること。

昔から大切にしてきた営み(有畜小農複合)にこそ(持続可能な)未来の姿があった、ということなのであった。

次回は、この際、読んだ山下惣一さんがかかわる4つの本『振り返れば未来』『北の農民 南の農民』『井上ひさしと考える日本の農業』『タマネギ畑で涙して』『身土不二の探求』について、備忘録を書きたい。






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