昔のことは忘れてしまうものである。
小野塚候補が、保健所について訴えているという。
どういうことなのか? わからないので演説を聞いてみた。
そして、分かった。
小野塚候補は、こう主張していたのである。
新自由主義によって、保健所なども統廃合が進められた。
保健所が所沢から狭山に移転したのも新自由主義のせいであり、つまり、アベノミクスのせいだ。
だから、アベノミクスや新自由主義をやめにして、自分は保健所を所沢に建設していく、と訴えているのだった。
でも、それはひどい! というものだ。
まず、第1に、保健所を設置する権限は国にはない。県や中核市にある。
だから国会議員の公約としては、権限外の公約であって、小野塚候補は当然そのことは知っているのだから
それを公約に掲げるのは確信犯的ウソとなる。
市民が何も知らないからって、それはいけないと思う。
次にひどいこと、それは、
平成22年保健所が狭山に移転したのは実は民主党政権下であった。
そして、小野塚候補こそ、その時の現職議員だったのだ。
(小野塚さんは平成21年8月~平成24年11月まで現職の衆議院議員)
さらに言えば、
時の県知事は、上田知事(元民主党衆議院議員)、時の市長は当麻市長(元民主党県議)だったのだ。
自民党も安倍さんも野党であって、何も権限は持っていなかった。アベノミクスなんて言葉もなかった。関係ない。
ひどい話だと思った。
そして、さらに思い出した。
あのころ「子ども手当」や「高速道路無料化」などの大盤振る舞いの資金を生み出すため
「1番じゃなくて2番ではダメなんですか!」(by蓮舫議員)でおなじみの事業仕分けで、
民主党政権は、研究費の削減や公の施設たたきをしていた。(ちなみに当時 市政でも事業仕分けを行っていた。)
事業仕分けのテレビ中継において、嵐山町にある「国立女性会館」の女性館長が、あまりに一方的な民主党議員の追及に、
思い余って反論していたことを 私は今でも忘れない。
研究費が縮小されるから、ワクチンも自国で作れない! それはアベノミクスが原因だ!
言うのは勝手だが、そうではない。
そして、あのころ民主党のキャッチフレーズは「官から民へ」であった。
公の仕事だったことも、民間に手放し(市場化し)どんどん民営化していこう。
(そのほうが安くできる=民間の安い給与の職員を使おう⇒非正規職員が当たり前の民間が増えていく・・・)
民主党はそう主張していたではなかったか。
ある意味、そうやって、民間給与が低いまま固定されてしまったのだ。
もう、新自由主義の路線を突っ走るのはやめにしよう!
私は今までもそう言ってきたし、今もそう思う。
新自由主義の弊害は 今、顕著だ。
でもそれと保健所などの一連の統廃合、研究費の削減などを、すべて自民党のせいにするのは間違えである。
新自由主義への流れは、小泉元総理と竹中平蔵さんのころから顕著であったし、もっと前からだと思う。
そして、民主党政権もずっぽりその中にいて、選択と集中、官から民へ と叫んでいたのである。
そしてそれは、多分に日本の置かれた状況(少子超高齢化、国債発行による財政の膨張と健全化の必要、
海外の安い労働力による圧迫や国内経済の空洞化(工場の移転)などがあって、
さらには、安全保障をアメリカに依存する分、経済で服従せざるを得ない状況があって、
そうした流れがあったのではないか。
消費税10%だって民主党政権時の3党合意によるものだ。
みんな真剣に考えての選択だった。
が、今はそれを再考し、新たな道を模索すべき時が来ているのだ。
岸田さんも新しい資本主義、成長と分配 といっている。
当時のことを忘れないで思い出すと・・・・・そういうことなのである。