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狭山ヶ丘中のエアコン工事 計画見直しの経緯
エアコンを取り巻く今までの状況)
航空機騒音にかかる一定レベル以上の地域に対しては、防音校舎化、暖房、クーラーの補助を防衛省は用意しています。
あくまで補助上の基準です。所沢市および教育委員会はそれまで防音校舎化、集中暖房までの対応をしてきましたが、
健康上その他の理由からクーラーについては設置しない方針でありました。
それらが平成17年度(h18.2)、防衛省の勧めもあり方針を転換、防音校舎になっている29校について、順次クーラーまで入れることにしたのでした。
平成23年12月 狭山ヶ丘中のエアコン工事をためらった理由)
私が市長に就任した一ヶ月後の平成23年12月末、教育委員会の担当職員が
「来年度 防衛省からの予算もつきそうなので、狭山ヶ丘中のエアコン工事を新年度予算に計上してよいか」
聞きに来ました。
しかし、私は、すんなり、「いいですよ。進めてください。」とは言えなかったのでした。
そう、あの時に提示された
狭山ヶ丘中学のエアコン設備工事費は3億1200万円。
【防衛省から1億8200万円、市費1億3000万円(うち8560万円は借金)】
大震災から半年、東北では32万人の人々が家を追われ、復旧もまだなのに、クリスマスのイルミネーションも自粛し、市内でも募金活動をしているのに、また、国の財政も大赤字で半分借金で賄(まかな)っている現状なのに、
なぜ「国費ならもらってしまえ」となれるのか!?
東北の人々にこそ今必要なのではないか!
市も借金して未来の子どもにツケを残していいのか・・・
悩みました。
〇原発事故を経験してもエアコンか?
まず、大震災と原発事故が起こったのに、また、快適を求めてクーラーを求める、それでいいのだろうか、と強く感じました。それでは今までと同じではないか! 福島原発が東京電力の発電所であることからわかるよう、原子力発電を必要にしたのは、快適を求めた私たち自身の欲望だったのではないか。今こそ自身の生活を転換するところから私たちは始めなくてはいけないのではないだろうか・・・。それらの思いが想起され、私は「GO」サインに躊躇をしたのでありました。
「ちょっと待ってほしい。考えさせてほしい。」私は担当にそう伝え、卒業生やその他の人に聞いてみることにいたしました。
〇騒音はどうなのか
しかし、問題は「騒音」ということなので、ならば授業ができないほどなのか、最後は、卒業生に意見を聞きに回りました。
卒業生は言いました。「開校以来29年間 やれてきたのだから大丈夫」そして「東北に使ってください」とも言われました。
また、そこで教鞭をとったことのある教師にも聞きました。
みんな異口同音に「そりゃあ、2秒くらい黙ってしまう瞬間があったけれど、大丈夫、できますよ。我々はやってきたんですから」と言われました。
また、「授業は聴覚だけでやるのではなく、五感を使ってやっている。ノートに書いたり黒板に書いたりする時間もある。
学力差があるわけもないし、やれますよ。」と言われました。
当時はみんなそう言って賛意を示してくれました。
※その後、狭山ヶ丘中については、保護者がアンケートを取りましたが、クーラーなど必要ないという生徒もいますし、
夏はもちろん、春も秋も窓を開けて実際は授業をしているようです。何度も様子を見に行き、また、知人にも見に行ってもらって、
生徒たちが春でも秋でも窓を開けて授業していることを確認できました。また、平成23年3月28日、住民代表と説明会を狭山ヶ丘中で行いましたが、その時は、2重窓のサッシの内側のサッシは取り外して、外側の1枚だけで使用されていました。2重窓はめんどくさかったのだと思います。
リスニングテストのことを言っている生徒さんがおられました。が、夏の時期のリスニングテストは年に1回ですから、
英語のテスト時間を工夫するか、その5分だけは窓を閉めるかして乗り切れると判断しています。
〇1日クーラーをつけるのにコストは48万円+電気代またはガス代
また、財政としても考えました。
クーラーは28度以上でつけるとしても年間つける日は限られています。
計算したところ10年間使い続けてもクーラー使用1日当たりのコストは48万円にもなり、
それに高騰する燃料費や電気代が加わるのです。
費用対効果を考えても難しい。
1校つければ計画通り29校、ゆくゆくは全校47校に、となるのが人情。
もう、そのお金はありません。
そこで、来年度工事、3年後にはクーラーが設置されると楽しみにしていた生徒たちには悪いけれど、
平成18年2月に作った計画をやめにして、その他の面から教育を充実することにさせていただきました。
〇教育のうち全体にかかわる「人」に充当した
8560万円の借金をやめにして、残った市費約4000万円で狭山ヶ丘中学含む6校にマルチサポーターとして先生を配置し、その2年前に予算不足で廃止になっていた小学校には心のふれあい相談員を復活させ16名配置、新設した障害児学級に介助員を当てて、教育の充実を図りました。また、狭山ヶ丘中学にはそのほかにも空気の通りをよくするため普通教室に欄間を設け扇風機を設置しました。また、保護者の要望を受けて、特別教室にも扇風機を入れました。
◎あれもこれも は望めない
少子高齢化で市の収入は減っています。なのに、社会保障関連(福祉・医療・介護・保健)の費用は増え続けています。グラフからもわかるように(住民投票について②参照)
この12年間でも、福祉費用は2倍に増え、その分、土木は半減、教育も環境も予算を減らしてやりくりしています。平成19年度にピークだった市税収入も25年度には40億円の減収を記録しています。働く世代の人口減などでこの傾向はさらに強くなるのです。
「クーラー設置」をいったん決めた右肩上がりだった平成18年当時とは状況が違うのです。
◎1校だけでストップとはいかなかったわけ
住民投票になって、29校つけるのは財政上無理だということになって、
皆様の中からは、では、1校だけにしたらよかったのではないか?! という意見が聞かれます。
しかし、それは難しかったのです。
市長就任当初から「29校既得権、全47校にクーラーを」という意見が議会にはありました。
全校圧力はその後も「温度が暑い」という理由で、展開され続けてきました。
初めの1ッ歩、は必ず29歩、そして47歩へと続くことが予想されたのです。
ですから、1ッ歩目で判断させていただきました。
◎クーラーつけますか?
自然と共生した事業や福祉の維持を望みますか?
限られた収入で何を選ぶか が問われています。どっちでもいいや 任せておこう ではすみません。限られた税金を何に使うのが適当なのか 市民1人1人が問われるのが今回の住民投票なのです。 教育委員会内部だけでも・全小中学校の老朽化した配管を新たにし、合わせて洋式化するトイレ洋式化事業・小学校のこころのふれあい相談員や中学校のマルチサポーター・新年度に展開を予定している市費教員の採用 これら事業が全てとん挫してしまいます。それだけでは済まない額がクーラーには必要です。
◎エネルギーの自立と持続可能な環境を目指そう!そして、自然をこそ復活
また、『所沢発 みどりと笑顔あふれる自立都市』を基本構想で謳(うた)っている所沢市です。自然の中で生きていく力を持った子どもたちに(夏休みもあるのに)クーラーを与えるよりも、クーラーなどいらない環境を残すべく今の大人は努めていこうではありませんか。所沢市は、環境面で取り返しのつかない「東京」ではないのです。アスファルトを土に緑に。森や川を生き返らせて・・・。
◎決めるのは皆さん 意思表示を!
今年6月、千葉市議会でもクーラーを求める市民請願は「トイレ改修が先」と不採択になりました。 みなさん、どちらが優先であるべきですか?! どんな社会、どんな未来を望みますか? 住民投票になった今、決めるのは皆さんなのです。