中野みどりの紬きもの塾

染織家中野みどりの「紬きもの塾」。その記録を中心に紬織り、着物、工芸、自然を綴ります。

紬きもの塾第7期の10回――上質の半幅帯を愉しむ

2016年01月20日 | 紬塾 '13~'16
今期の紬塾も最終回を迎えました。

第10回は半幅帯の結び方を中心にしましたが、それ以外に仕立てのことや帯のマイサイズなど、着物を着始めていく上で、多少でも予備知識があれば何もかも人任せ、お店任せにせずに、理解して自分にふさわしい仕立てをしてもらえるのではないかと思い、注意点なども話ました。

半幅帯は素材によっても色柄によってもふさわしい結びがあると思いますが、浴衣用とだけ決めつけないで気軽に装うためにも、初心者こそ紬に上質の半幅帯を活用してほしいと思います。

矢の字、吉弥、文庫、角だし風とそのアレンジなどやってみました。
文庫はみなさんよくされると思いますが、大体の方が、スノコ畳みにしているのですが、ビョウブ畳みのほうがアレンジや帯の長さの調節も効きますのでそのやり方で幾通りか結びました。
また、今までの回のおさらいもかねていましたので、質問などもしていただきました。

また幸田文「きもの」も最後の発表者から指摘があった、父親の発言の箇所がとても大事なところだと思いました(単行本のP115~P118)。
婚礼を控えた長女がおかいどり(打掛)を着たいと言い出すのですが、父親から主人公のるつ子にも「なぜ、かいどりなんぞを着たいんだね?」と問いかけます。るつ子が「誰だって着たいわ」という物言いに、父親は立て続けに、見栄を張ることや、追従で着るものではないと説教をガミガミするのです。

今なら貸衣装の打掛がありますが、当時は普通の庶民が着るものではなかったようです。
人はなぜ着るのか、何を着たいのか、どうこしらえて着るか。
“着る”とは何かを考えさせられる箇所です。

最後の茶話会()では、気付きについてや今までの考え方を変えていきたいというような趣旨の発言もありました。
また着物を着たことのなかった方も、着てみたい気持ちが前回の着物を着る体験でも湧いてきたとの話も聞かれました。時間がたったら忘れてしまうかもしれない…と言ってましたが、私は紬のような着やすい地風のものであればだれでも自分で着ることはできると思っています。もちろん早くきれいに、着るには訓練も年季も必要ですが、着てみたい‥という何か突き動かされる気持ちを持ってもらうことが大切なのだと思います。その気持ちは忘れないでほしいと思います。また着方などお手伝いしますのでご連絡ください。

今の時代に手織りの布を織ること、手織りの布を着ること、それを次世代につなぐ、とことん着つくすなど、世の中の動きとかけ離れているのではないかという考え方もあると思いますが、私は次世代にどうしても残しておきたい善い仕事と思っています。一人でも続けますが、志を同じくする方たちと一人でも多く繋がっていけることを希望しています。

手作りならいいのではなく、生きるためにものを作り使うことを考えなければ文化は育たないと思います。自分で着物を着るわけではなく、暇つぶしに趣味で着物を織ったり、紬の基礎もできていないのに、公募展に自分の名誉(?)のためだけに作り続け出品しても着物文化は育ちません。それどころか作家もののレベルを下げていくだけです。工芸会の正会員の紬織作家の方が、私も出品していた若いときに「今どき着物なんてねぇ‥」と言われて唖然としたこともあります。(+o+)

時間をオーバーしての紬塾最終回となりました。
遠くからの参加者の方も休まずにとても熱心にお越しいただきました。たくさんの質問を用意して来てくださいました。
みなさまお疲れ様でした。ご参加ありがとうございました。

さて、工房では毎日かなりきついノルマを課して個展に向け制作に頑張っています。
風邪は絶対に引けない状況ですのでかなり厚着です。オーガニックコットンの肌着、スパッツは空気をためてくれるので本当にあったかで助かります!

もう少し仕事の目途が立ちましたら北鎌倉、東慶寺ギャラリーでの展示の詳細をお知らせいたします。
会期中の2月27日(土)11時~13時にミニ紬塾も予定しています。ご興味のある方は予定に入れておいてください。

来期の紬塾へ参加を希望されます方は、2月下旬に詳細をアップしますのでご覧ください。







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