中野みどりの紬きもの塾

染織家中野みどりの「紬きもの塾」。その記録を中心に紬織り、着物、工芸、自然を綴ります。

第3回紬きもの塾 「とことん着尽くす・麻の伊達じめを縫う」

2016年06月13日 | 紬塾 '13~'16

先週末は紬塾が行われました。
「とことん着尽くす・麻の伊達じめを縫う」として、着物の更生や、その実例を見てもらったり、日常の暮らしの中でもものを大事にしていくことなど、みなさんが普段気をつけていることなどにも話し合いました。

上の画像の手にとっているものは、母が戦争中に、亡くなったおばが織った着物地から上着に作ったものです。
食べるものは田舎で土地がありましたのでなんとか自給できましたが、布が手に入らず本当に困ったといってました。
緑色の紙風船の柄の風呂敷は母が小学校の時に父親に買ってもらい着ていた銘仙の着物から作ったものです。
父親が早くに亡くなり、母にとっては数少ない父親の思い出に繋がる着物だったのでしょう。
銘仙は弱いから擦り切れるとは言っていましたが、この古い着物を80すぎで亡くなるまで、こうして風呂敷の形にして置いてありました。他にも座布団側や、枕、腰紐などにもして使い切りました。

着物の小幅は接ぎ合わせることで、大きな風呂敷にもしていけます。二幅、三幅、四幅など、布団を包むものも古布を利用してせっせと縫っていました。
広幅で買えば安いのですが、小幅を接ぎ合わせていく合理性もいいものだと思います。
接ぎ目には縫い代を二目落としにして、落ち着かせてあります。日本の知恵、美意識、手業が感じられます。
小幅は正座での仕事において扱いやすいですし、広幅から型紙で作る着物とは全く文化が違いますね。

真ん中にある毛糸の編み物は、古毛糸を繋ぎ合わせ、2本取りにして、孫のおくるみや、ひざ掛け用に編んだものです。私たちにも編んでくれたセーター等、解いて、カセにして、洗って、また毛糸玉にして編んだものです。

紐も腰紐に使えそうな生地や、布団をベランダで干す時にくくり付けるためにたくさん作っていました。プラスチックの布団バサミを使えば簡単なのにです。

奥にあるビニール袋に入ったものは裂き織り用に母が布団側などを裂いて残してくれていたものです。自分の仕事で手一杯で、裂き織りに専念する時間がもてず、たくさん置いたままになっていますが、いつの日か敷物にでもしたいです。

何でも使えるものを使い切ることが気持ちが良かったようです。
擦り切れるまで使う喜びが感じられました。
とにかく古い布を大事にした人でした。
でも新しく買うときにはよいものを選ぶ人でした。

布だけでなく、水や電気、ガスなども大事に使いたいものです。
これから特に活躍する炭酸塩のお洗濯についても説明しました。すすぎが楽です。


恒例になりました麻の伊達締めを縫う時間です。
今期の方にはヘンプの端切れを利用してもらいました。
広幅のハギレですので、二人ひと組になって、地の目を通してハサミを入れ、生地を半分にしていきました。
地の目が通っていると、縫い上がりが綺麗です。

一見できそう・・・

そして運針の時間です。
前回皆さんに「運針はできますか?」と尋ねると、和裁をしている方もいますし、まんざらでもなさそうな感じでしたので、今回は楽勝!と思っていました。
しかし、、、^^;汗だくになりました。
どなたかの、いい汗ではない・・というつぶやきも聞こえてきました。

和裁教室でもあまり運針には力を入れてないようですね。
布を針ですくっているやり方で、あれは運針ではないですね。

いろいろ縫わなくてもいいので、基本縫いをみっちりやると、あとは応用だと思うのですが。。。

来年は作戦を変える決意をいたしました!





コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「紬の会’16ー紬から始めよう... | トップ | 草木の色は無限 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

紬塾 '13~'16」カテゴリの最新記事