着尺用の経糸を巻いてます。
紬は経糸の仕事(糸選び、精練、染色、糊付け、糸巻、整経、経て巻)が織り物の善し悪しの7~8割を決めてしまうものだと思います。機に掛けるまでが、緊張の連続です。
今まで400反以上織ってきましたが、どれだけ座繰り機を回したでしょう。
左右の肩の四十肩、五十肩を何度もしてしまいました。
左右の肩の四十肩、五十肩を何度もしてしまいました。
50歳を過ぎた頃、痛みで右手が使えなくなり、それでも仕事を休むこともできず、左手で巻くこともありました。
ただ、こんなに巻いても節糸や真綿の糸は表情があり飽きることはありません。
ネップ(節)の形や硬さを見ながら取り除いたり、残す判断をしたり、形を整えたりします。取り除けばいいというものではありません。
糸を見ながら、指の腹で糸を確認しながら巻くので、スルスルは巻けません。
一綛に半日かかることもあります。
一綛に半日かかることもあります。
手間はかかりますが、糸巻を電動に変えるつもりはありません。
蚕の吐き出した波状の糸のかたち、人が繭を目で管理し、繰りながら糸にするかたち。それを損ねないよう、人の身体の速度で巻き取っていく仕事です。
一つとして同じ糸はありません。毎回新たな気持ちで糸と向き合い、この糸がどんな布になって表情、風合いをつくるのかを想像しています。
2回目の紬塾で、糸について、繭や真綿から糸を引き出すワークショップ付きで詳しく解説します。