松花堂庭園を散策すれば、秋の七草の一つ ”女郎花” に出会うことが出来る。
”女郎花”の立て札を見て、瞬時に”おみなえし”と脳裏をよぎる方は、花について結構知識があると言える。
中年の男性は真っ先に”じょろうばな”と頭に浮かぶのがオチだろう。この花に対抗するように、形は女郎花とそっくりで白い花の”男郎花”もという花もあるようだ。何と読む。”だんろうばな”しか読めないかも。”おとこえし”と読み、別名:敗醤(はいしょう)という。花瓶に生けておくと、醤油(しょうゆ)の腐ったような匂いがしてくることから、ついた名前だ。
そんな腐った匂いのする花を生け花に使うか・・・。
やっぱり野草は、野辺や草原に咲いているのを見る方が好き。もう少しすれば、山に行けば秋の七草の一つ”クズ”の花を見ることが出来る。コンクリートの無機質な道を歩くよりも、土の道をたまには歩いてみてはいかが。新しい発見があるかもよ。
【参 考】
1.秋の七草とは,
(1)オミナエシ
(2)キキョウ
(3)クズ
(4)ナデシコ
(5)オバナ(ススキのこと)
(6)ハギ
(7)フジバカマ
【女郎花の豆知識】
・女郎花(おみなえし)科。
別名: 「粟花」(あわばな)「思い草」(おもいぐさ)
・学名 Patrinia scabiosaefolia
Patrinia : オミナエシ属
scabiosaefolia : マツムシソウ属のような葉の
・開花時期:7月下旬~10月上旬。
・黄色い清楚な5弁花。山野に生える。
・「おみな」は「女」の意、「えし」は古語の「へし(圧)」で、美女を圧倒する美しさから名づけられた。
また、もち米でたくごはん(おこわ)のことを「男飯」といったのに対し、「粟(あわ)ごはん」のことを「女飯」といっていたが、花が粟つぶのように黄色くつぶつぶしていることから
「女飯」→「おみなめし」→「おみなえし」となった、との説もある。
・漢字で「女郎花」と書くようになったのは 平安時代のなかば頃から、と言われている。
・根は漢方薬になる。
・日本では万葉の昔から愛されて、万葉集や金槐和歌集 に多くの歌が残されている。
(1)「手にとれば 袖(そで)さへ匂ふ 女郎花 この白露に 散らまく惜しも」 万葉集
意味: 手に取ると袖まで美しく染まりそうな女郎花(おみなえし)が、この白露に散ってしまうのが惜しいことです。
にほふ、とは「美しい色に染まる」とか「あざやかに色づく」といような意味です。
(2)「女郎花 秋萩凌ぎ さを鹿の 露分け鳴かむ 高円(たかまど)の野そ」 大伴家持 万葉集
意味: おみなえしや秋萩を踏み倒して、牡鹿(おじか)が、露(つゆ)を分けて鳴くでしょう。高円(たかまど)の野でね。
「高円(たかまど)」は、奈良市白毫寺(びゃくごうじ)町などの一帯をいいます。
(3)「さを鹿の 己が棲む野の 女郎花 花にあかずと 音をや鳴くらむ」 金槐和歌集 源実朝
(4)「ひょろひょろと 猶(なお)露けしや 女郎花」 松尾芭蕉
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