ウィトラのつぶやき

コンサルタントのウィトラが日頃感じたことを書いていきます

ルネサスは誰に買われるのが正解だったのか

2012-12-15 15:23:21 | 経済

日経電子版に掲題の記事が出ている。アメリカの投資ファンドKKRと産業革新機構のどちらが良かったか、という話である。日経の編集委員西條氏はKKRのほうが良かったのではないか、というニュアンスで書いている。

私も同様な印象を持っている。私はルネサスのためというよりも顧客企業のためにKKRのほうが良かったのではないかという印象を持っている。今回の産業革新機構の買収はルネサスの顧客である日本の車メーカが強くサポートしたことが影響しているのだと私は思っている。車載用マイコンで世界最大のシェアを持ちながらルネサスは赤字体質である。これは顧客の要求を聞きすぎてカスタマイズに手間をかけるのに数が出ないのでルネサスとしては大きな利益にならない。一方で顧客の自動車会社からすれば、ルネサスが居なくなると自分たちの要求を聞いてくれる会社が無くなるので困る。それで支援の声明を出したりして日本連合でルネサスを支援する形を作ったのだと理解している。

しかし、これではマイコンが大きな稼ぎ頭になることは期待薄である。どこでルネサスが盛り返していくのだろうか、と思う。西條氏も同じような見方だと思う。ルネサスが利益を上げられるようになる見通しは立たないのだが、私はルネサスの停滞が日本の自動車産業に大きな影響を与えるのではないかと懸念している。

遅かれ早かれ、各自動車会社がマイコンを特注するようなことは続けられなくなると私は思っており、KKRが買収したほうがプレッシャーが顧客にも強くかかり早く決着がつくと思うのである。自動車会社は早めに特殊マイコンではなく汎用マイコンをたくさん使う方向に向かうべきだと私は思っている。Intelの高性能CPUを使うようになると日本の企業は強みを失うと思うのでこの辺りが難しいところである。

ここ数年のマイコンに対する取り組みが自動車業界にとっての将来を大きく左右すると思っている。