ウィトラのつぶやき

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日立と三菱重工の電力事業統合

2012-12-01 08:44:19 | 経済

日立製作所と三菱重工が電力事業を統合するという発表をした。火力発電と有害物質除去装置、燃料電池事業などが含まれており、売上高を合計すると1.1兆円になる。原子力事業の統合も議論されているが今回は見送られた。国内の原子力行政の方向性が選挙が終わるまでははっきりしないということと、日立はアメリカのGEと三菱重工はフランスのアレバと組んでいるという事情があるらしい。路面電車なども議論の俎上に上っているという。

日立と三菱重工が全面統合すればドイツのシーメンスのような会社になるだろう。シーメンスとは私も15年くらい前に付き合ったことがあるが、5万人以上を抱える通信部門の事業を他社と統合するようなことを経営者は常に考えていた。そして実際にノキアに売却してしまった。そういう大きな視点をこの両社に感じる。

この事業統合は、良い決断だと思う。両社とも事業不振で赤字に陥っている訳ではない。三菱重工にとってはむしろ稼ぎ頭の事業である。新会社は三菱重工が65%というから三菱重工にとっては事業拡大につながるという認識なのかもしれない。それならば日立がむしろ大きな決断をしたということだろう。

組み合わせも良いと思う。日立は電機系なのでエレクトロニクス、ソフトウェアに強く、三菱重工は機械系に強い。日立は縦割りの強い組織だと聞くが、ここ数年間、横串を通そうと努力してきた。IT業界の早い動き、無料サービスと言った思いもよらないビジネスモデルの構築といった従来型では無いビジネスモデル見も触れている。この点でも三菱重工に新風を吹き込むように思う。

今回の統合は視点が国内に閉じておらず、世界で戦うために、シーメンスやGEとどう戦うかという意識が明確に感じられる。国内の市場に閉じていては勝てないと分かっていながら国内に閉じこもって、いまだに消耗戦を行っている国内の携帯電話業界の経営者は見習ってほしいものである。