私も大学の仕事で出張をするようになってきた。先週は韓国、今週は北海道に来ている。
出張精算の手続きで大学は企業とかなり異なることを知った。企業の場合には出張手続きは殆ど企業がして本人はチケットをもらうだけなのだが大学では本人が手続きをして金額を事務に請求する。これは私がコンサルティングをしていた時にはそういうやり方だったので違和感はない。違和感を覚えたのは大学は飛行機の搭乗券を提出することを求める点である。
企業の場合には、コンサルティングの時代を含めて搭乗券を求められることは無かった。いくらかかったかという、チケットの購入証明を求められただけである。なぜ搭乗券を求めるのかというと、本当に出張したことを証明するためであることは明らかである。企業の場合には出張は会社のためにするので出張報告なり出張先から出張元に連絡するなどして出張結果がどうであったかを報告するのが常識である。従って、手続きだけして実際は出張しないというようなことはあり得ないし、仮にキャンセルになればすくにそのことが分かるので搭乗券は必要ないのだろう。
一方大学では、特に教授はどこに出張したかということを報告すべき相手はいないし、報告義務はない。事務局は出張内容には興味を持っていないし、学部長なども個々の教授がどういう出張をしたかということには興味は無い。しかし、出張に伴い経費は支払うので出張したことの証明が必要になるのである。
しかし、これは良く考えるとおかしなシステムである。経費を支払う人が成果を期待していない。だから行動を追及するというシステムに思える。考えてみると大学教授は中小企業の社長のようなもので極めて独立性が高い。それは研究という性格上ある程度必要なのかもしれないと思う。それならば大学は出張費用というようなものを一切支払わず、教授の采配に任すべきだろう。教授の成果を評価して予算をつける、それをどう使うかは完全に教授任せ、というのが本来あるべきシステムのように思う。
そうは言っても教授も公務員なので一定の縛りで経費を受けるべきというのも現実としては理解できる。その場合には実際に出張に行ったかどうかではなく、出張先で何をしたかを他の人が把握できるようなシステムを作るべきだろう。学科単位か何かで他の教授がどういうとことに出張したか、そこでどういうことをしてきたかを把握するようにすれば、出張して観光だけしてくるような人は自然と分かるだろう。
私が入社したことには会社にはタイムカードというのがあって何時に会社に来て何時に会社を出たかを記録に残していた。しかしそれは意味がなく、会社にいて何をしたかが重要なので、今タイムカードのシステムは単純作業の人を除いて殆ど無くなっていると思う。大学教授はもっとも創造性が求められる職業である。行動ではなく結果で評価するシステムを作り上げるのは国にとって不可欠なことだと思う。