台風15号が来ていて名古屋市では100万人に避難指示、勧告が出た。これを聞いて私は「日本はどうなるのだろう」と改めて感じた。
日本に台風は毎年のように来ている。しかし100万人以上の人に避難勧告を出した。避難勧告というのは避難指示とは違って注意を促しただけである。しかし、100万人もの人がいったいどこへ避難するのだろうか。そもそも本当に100万人もが避難しなければいけないほど危険な状態なのか、私は大いに疑っている。
この勧告を出したのは名古屋市だが、本当に防災情報を持って体制ができているのかを大いに疑問に思った。守山区は実際に水浸しになったそうだが、その周辺の実際は影響がどのように出るか分からないところでも避難勧告が出たのだろうと思う。そこには責任逃れのために勧告を出しておいたほうが自分にとって安全だという発想を感じる。原発事故の時の「リスクはゼロではない」という発言と同じ臭いである。
ちょうど今朝の日経に菅直人前首相の福島原発の回想インタビューが載っていて、似たような傾向を感じる。私は菅氏に関しては自分の行動に関しては全て正当化するために発言していると思っているので信用していない。しかし共感できた部分はある。「東京電力にまともに話ができる人は二人しかいなかった。勝俣会長と、吉田所長である」という部分である。私もテレビを見ていてそう感じていた。他の人は皆責任逃れが最初に頭にきている、というのはあたっている感じがする。ここでまともなのは二人というのが「何人のうちの二人だろうか」、と思う。総理と接触する可能性のあった人から考えて、おそらく50人から100人のうちの二人だろうと思う。
随分少ない比率である。日本人は不意の事故が起こったような時にまともに動ける人はそんなに少ないのだろうか、と思う。私が想像するに、吉田所長より下の人では、まともな人の割合はぐっと増えるのではないかと思う。つまりそういう骨のある人は出世せずに、保身を考える人が出世しているのではないか、ということである。これが最近の日本の産業の弱さにつながっていると思っている。
私が勤めていた時にも、部長(部下50人程度)くらいまでの人事は実に良くできていたと思うのだが、上級管理職の人事には首をかしげることが少なからずあった。この上級人事の仕組みを企業から公務員まで見直すことが日本の活力維持にとって急務だと思っている。