枝野経済産業大臣が「東電の給与は高すぎる」と発言している。一国民としてはうなずけるものだが所轄大臣の発言としては問題だと思う。
東京電力は言うまでもなく民間の会社である。民間の会社の給与体系に口出しをするのは大株主でもない限りするべきではないしまたできないことである。友人と飲みに行って「東電の給料は高すぎるよなー」というのとは全く次元の違う、実力行使を背景にした発言であるだけに問題だと思う。
政府としては東電の原発補償で大幅に関わって救済することができるので政府は東電の極めて強いステークホルダーであり、発言する権限があると思っているから出た言葉だろう。しかし、給与体系に口出しするのは明らかにマイクロマネージメントで、それを言うなら東電を政府の会社にしてから言うべきことだろう。政府がいうならば、会社全体に対して「売り上げがこれだけの会社で給与総額が売り上げのX%になっている。これは他の業界、あるいは他の国と比較して大きすぎる。」というような言い方をして総額規制を行い、中身をどういう給与体系にするかは東電の判断にゆだねるべきである。
この発言をきっかけに経産省の東電への介入が強まり、それが電力業界全体に広まっていく。これが菅政権時代に作成した東電救済のシナリオの真の狙いであり、枝野大臣はまんまと乗せられたという感じがしている。
前の鉢路大臣がどういう人だったかは知らないが枝野大臣に関してはとても適材適所とは言えないと思う。弁護士上がりなので経済の仕組み、会社の仕組みというものを理解していない、と感じる。正義感はあり本人は正しいことを言ったつもりで、確かに賛成する人もいるのだろうが、会社の仕組みを脅かす方向に行くと思う。総理候補になった前原氏にも同様の印象を持っている。
枝野氏自身、頭の良い人で、私利私欲から出た発言ではなく正義感から出た発言だとは思うが、総理、あるいは民主党の長老あたりが「あの発言は問題だよ」と注意してあげないと次第に問題を大きくしてきそうな気がしている。