ウィトラのつぶやき

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アップル、ジョブズ辞任の影響は?

2011-09-01 08:57:31 | 経済

アップルのカリスマCEOのジョブズ氏が辞任して大きな話題となっている。これで対抗しているサムスンの株が上がったと言われている。実際にはどのような影響が出るのだろうか?

私は、ジョブズ氏も後任のクック氏も良く知らないが、クック氏は実務能力は極めて高いらしく評判が良い。これで一気にアップルがおかしくなるようなことはまず無いだろう。その一方でアップルが今の特殊なやり方を継続できるかどうかは疑問に思っている。

アップルのやり方のどこが特殊かといえば、大きく言って二つあると思っている。

一つは垂直統合のビジネスモデルである。アップルはOSからCPU、アプリ販売の仕組みなどを全て自社で抑えていてアプリ開発のインターフェイスだけを公開するという、ニンテンドーと良く似たやり方を取っている。他の会社はグーグルの開発したAndroidを使っているので開発費は安く上がるが差別化は難しい。一方アップルは自分で全てを開発しなくてはならず、負荷が重い一方で、チューニングができるというメリットがある。このやり方はパソコンの時代からのアップルの遺伝子なので簡単に変えることはないだろう。しかし、機能を絞っていればできると思うが汎用品でこの状態を継続するのはかなり大変だと思う。

もう一つは開発機種の少なさである。他の会社は年間に何十機種も開発しているのに対してアップルは基本的に年間1機種である。これが極めて高い利益率につながっている。このやり方を続けられるのは新機種が消費者に驚きを与え、来年はどんな機種が出るのだろう、と期待を持たせ、少なくともこれまでのiPhoneでは期待を裏切らなかったからだろうと思っている。このやり方もゲーム機業界と似ているのだが、私はジョブズ氏がいなくなったアップルでこのやり方は困難になって行くのではないかと思っている。

他の会社が機種数が多いのはユーザの好みに合わせているからである。ユーザをセグメント化して、そのセグメントにあった機種を投入する。だから機種数が多くなる。これに対してアップルは自社製品の魅力で幅広いユーザを引き寄せる。このやり方をどこまで継続できるか、今開発中のiPhone5は良いだろうがその次あたりから怪しくなるだろうと思っている。

実は私はジョブズ時の引退でLTEの普及が早まるのではないかと思っている。アップルにアイデアが不足してLTE搭載をiPhone 6の目玉にするのではないかと思うからである。ジョブズ氏が引退してもまだまだiPhoneの人気は高い。iPhoneにLTEが搭載されると、一気に搭載機種が増え、LTEの市場立ち上がりが本格化するのではないかと思っている。来年末あたりがその時期になるのではないだろうか。