〓〓鳩山元首相「思いが先に立ちすぎた」 沖縄で謝罪
鳩山由紀夫元首相は15日、沖縄県宜野湾市で講演し、米軍普天間飛行場の移設問題で「最低でも県外」と発言したことについて「ご迷惑をおかけしたことは申し訳なく、心からおわびしたい。同僚議員や官僚を説得できなかった不明を恥じる」と陳謝した。
鳩山氏は「沖縄の皆さんが基地問題に悩まされ続けていることについて(解決策を)少しでも進めたかったが、自分の思いが先に立ちすぎて綿密なスケジュールを立てられなかった」と釈明した。
ただ、鳩山氏は「他国の軍隊が一国の領土に居続けるのは異常。独立国の姿を取り戻さないといけない」とも述べた。鳩山氏が沖縄県内を訪問するのは、首相辞任後初めて。〓〓(asahi.com 2012-05-15)
記念式典の会場で、野中広務元官房長官は直接「男は恥を知るものだ」と痛罵したそうだ。限りなく善意に解釈すれば、ひょっとしてトリックスターを気取っているのかもしれない。しかし中国、イランでの失態を引き合わせると、それはありえない。単なる「バカ殿」だ。それならそれで訳知った「爺」がいるはずだが、それもいない。殿を外交担当最高顧問に据えた輿石幹事長が爺に当たるともいえるが、ほとんどコレオグラフィたり得ていない。
歴代総理経験者全員が招待された中で、一人鳩山氏だけが出席したらしい。市井の結婚式でもそうだが、誰を招待するか(あるいは、招待しないか)に主催者の立ち位置や意図が表出する。外交でもそうだ。誰を招き、誰が出ないか。さまざまな思惑が交錯する。むしろそれら事前の段取りこそが交渉の中核的部分を占める。式典は政府と沖縄県の共催だが、ヘゲモニーは内閣府が執ったにちがいない。肝心の式次第は沖縄担当の政策統括官名で通知されている。国のセレモニーである以上、ゲストの選択には国の立ち位置や意図が表出するはずだ。あまりに無神経、無策であり、無能が明らかではないか。
いまさら「バカ殿」の『バカ』を論ったところで時間の無駄だ。問題は政府の為体(テイタラク)である。なぜこうまで行政機能が劣化してしまったのだろう。官僚の官僚的差配に、なぜチェックを入れられないのか。どうして政治的配慮が加味できないのか。セレモニーに政治的権能はないが、政治的意志は十全に発信する。彼のセンスを問う前に、政府のセンスこそ指弾されるべきではないか。現政権党の破綻はどこから始まったのか。そこを真摯に振り返れば、こんな愚かな式典運営はできないはずだ。あるいは、百も承知の悪知恵なのか。ならばハトは見事にトラップに嵌められたというべきか。
一方、大田昌秀元知事は欠席した。95年少女暴行事件の直後、米軍基地の強制使用を認める代理署名を峻拒し時の政府と鋭く対峙した。翌年、日米は普天間返還で合意。大田氏は県外移設を強硬に主張した。だが移設先に名護市が浮上した際には、氏の対応が裏目に出た。また米軍用地特別措置法の改正も阻止し得なかった。いまだに普天間は動かない。氏は忸怩たる重い鬱懐を抱いているにちがいない。「お祝いできるような状況ではない」と招待を断った。今も氏は宜野湾市に暮らす。
片や出席、片や欠席。人品の、いかんともし難い雲泥の差に悚然とする。 □