伽 草 子

<とぎそうし>
団塊の世代が綴る随感録

て ナ モ ン ヤとクラツカー

2010年02月25日 | エッセー

 2月17日のことだ。藤田まこと氏の逝去を伝えるニュースに唖然とした。逝去には愕然としたが、唖然としたのはアナウンスにである。

 「てなもんや三度笠で人気者となり …… 」の下りで、「てなもんや」の「て」にアクセントを置いたのだ。平板で発音、つまりアクセントを付けないところなのに、アタマをフォルテッシモにしてしまった。あえて書き表すと、『て ナ モ ン ヤ』である。なんとも異様に聞こえた。手にしたコップを危うく床に落としそうになった。
 さらに続けて、「当たり前田のクラツカーは流行語となり …… 」ときた。なんと『ツ』が大文字なのだ。数秒後「クラッカー」の読み違いと気づいて、手にしたコップを危うく放り上げそうになった。
 齢(トシ)のころなら30を少し出たくらい、驚くなかれ彼(カ)の日本放送協会の男性アナウンサーであった。これには膝を折るほどに愕然とした。
 しかしよくよく考えると、得心がいかぬ訳ではない。彼には原体験がないのだ。「中村主水」は知っていても、「あんかけの時次郎」には一面識もないのである。つまりはそういう世代であり、年代である。いかに書き殴りの原稿であろうとも、馴染みがあれば読み違えるはずはない。かくして、訂正もなくニュースは終わった。
 真っ当な専門教育を受けてきた公共放送のアナウンサーにしてこれである。それほどに時代は経、かつ巡ったということか。しばし呆然とした。日曜午後6時から30分、「てなもんや三度笠」は大阪産のどぎつい笑いを全国に発信した。団塊の世代が中学、高校生だった間中続いた。60年代前半を代表するドタバタコメディーも、もはや苔むすほどの昔話と化したわけだ。

 ビフォー・アフターというが、これほど鮮やかに変身した役者は稀だ。コメディアンからアクターへ、日向(ヒナタ)から夜陰へ、笑(ショウ)から渋(ジュウ)へ。いかりや長介氏も数少ない同類だが、メタモルでは藤田氏が十年以上先んじた。
 役を演じること自体がメタモルフォーゼといえるが、役柄どころかジャンルまでも変えるとなると並大抵ではなかろう。わたしなぞは余りの変貌ぶりに、当初は困惑した。前身の印象が強い分、嵌まり過ぎた主水にかえって違和感すら抱いた。
 役に化身する名演はあっても、ビフォー・アフターの如くに截然と役柄を取り替える名優は異数だ。してみると氏を後者に挙げて、あながち外れてはいまい。
 実生活では不如意があったらしい。それも芸の肥しになったに違いない。ついに「アフター」を『当たり前』にしてしまった。件(クダン)のアナウンサーが『当たり前』に読めなかったのは、きっとそのせいだ。

 あんかけの時次郎、そして中村主水、さらに原田眞(本名)。三役を演じ、氏は生者の列を立ち去った。はたして黄泉では何を演じるのだろう。
 誄に代えて。 □


オニオンスライス

2010年02月14日 | エッセー

 先日、立松和平氏が亡くなった。対談などは読んだものの、作品に直接触れることはなかった作家だ。栃木訛りや面容に違(タガ)わず、頑固なまでに自然をいとおしんだ人のようだ。かつ、行動する作家とも評された。以下は、2月11日付の天声人語である。

〓〓出世作の「遠雷」も忘れがたいが、立松和平さんといえばオニオンスライスである。早大に合格して上京し、下宿の近くの食堂へ行った。むろん懐は寒い。品書きをにらみ、一番安いオニオンスライスを注文した▼「オニオンス・ライス」、つまり玉葱ご飯だと解釈したのだった。薄切りの玉葱が運ばれたが、おかずだと思い、ご飯が来るのをひたすら待ったそうだ。「玉葱の上にかかった花かつおが、人を小馬鹿にしたように揺れていた」と回想している▼そんな田舎の青年が、そのまま年を重ねたような風貌だった。故郷の栃木弁が似合っていた。玉葱の食堂では、訛りが恥ずかしくてご飯を「催促」できなかったという。だが後年はそれが持ち味になり、語りは炉辺談話の趣をかもしていた。▼冒頭の食堂に話を戻せば、立松さんは玉葱だけ黙って食べたそうだ。そして「東京暮らしはつらいな」と思う。切ないのに、どこかおかしくて、あたたかい。そんな空気を人徳のようにまとい続けた作家だった。(抄録)〓〓

 実に驚いた。氏から少し遅れて、わたしにもまったく同じ経験があったからだ。朝、東京・中野駅近くの喫茶店だった。壁にぶら下げてあるメニューを見ると、それがあった。「花かつお」の乗った玉葱のスライスは出てきたものの、ライスが一向に姿を現さない。痺れを切らして、ライスはまだかとついに尋ねた。少しの静寂(シジマ)があって、仲間の笑いが弾けた。
 中黒がないのが仇(アダ)になった。「ス」がどちらに付くのか。オニオンの複数形か、所有格か。ライスの頭に付いて、スライスなのか。当時の個人的な食料事情により、咄嗟に前者の解釈をしてしまったのである。

 今までさんざん話の種に使ってきたが、この作家のように「切ないのに、どこかおかしくて、あたたかい」逸話とはならず、人格に滋味が薫ずることもなかった。「花かつおが、人を小馬鹿にしたように揺れていた」と観る感性も持ち合わせてはいなかった。単なる失敗談に終始した。

 小学校に上がってすぐの頃、わが家の斜向かいにあった金物屋の看板を『かねもちや』と読んで周囲の失笑を買ったこともある。「金物」とあるのを誤読ではあるが「金」が読めたのを幸いに、ありあわせのボキャブラリーから「かねもち」とやってしまったのだろう。振り返ると、「戦後」が終わり金物屋なるものが立ち行かなくなる際(キワ)でもあった。なぜか記憶に残るあの失笑の違和感は、そのような背景があったのだろうか。ほどなく別の店に変わり、看板も付け替わった。

 読みちがい、勘ちがいは人の世の常だ。例を挙げれば切りがない。肝心なのは、そこからどんな花が咲くか。種のままで終わるのか。蕾には至るもそれで枯れるのか。人間、生まれにちがいはないが、生い先でちがいがつく。
 いまではオニオンスライスはわが家夏場の定番メニューになっている。直前まで冷凍庫に入れておいてパリパリの食感を楽しむ。まあ、いいとこ、「蕾」のままというところか。一方、「かねもち」は種ともならず遥かな遠景に消え去った。 □


伽草子 クロニクル 3/3

2010年02月10日 | エッセー

■ 2009年(平成21年) 
◆初春 丑尽し …… 「汗牛充棟」「牛飲馬食」「牛歩」「牛車」「牛後」など  1/1
◆レイディオ宣言?? …… 地デジの強権的推進に反対 後、撤回  1/7
◆2008年12月の出来事から …… 内閣支持率が22%、麻生政権2カ月で急降下、千葉・東金の女児殺害で逮捕  1/12
◆一億総バカ化?! …… テレビにお笑いが跳梁跋扈  1/19  
◆悪童が帰ってきた! …… 朝青龍、復活優勝 格闘技のDNAを復活 1/26
◆きほんの『ほ』 …… きほんの『き』の続編 感覚的思考を  2/1 
◆ひと冬の経験 …… 入院1年を振り返る 百恵「ひと夏の経験」から。2/4 
◆2009年1月の出来事から …… 自衛隊ソマリア沖派遣、オバマ就任演説、大相撲大麻事件2/8 
◆POWER TO THE PEOPLE …… 経済危機 庶民・女性に力を!  2/13
◆Starting Over …… 拓郎復活 ファイナルツアーへ  2/20 

◇◇前稿で「意外な展開」と記した、それが始まった。拓郎は生き様で歌うようになった。◇◇

◆禁じ手 …… 映画「おくりびと」にオブジェクション  2/27  
◆空打ち …… ホッチキスの空うち 「笑っていいとも」樹木希林vsタモリ 3/4
◆2009年2月の出来事から …… 小泉元首相が麻生首相批判、不妊治療で受精卵取り違えなど 3/8
◆大阪高裁に拍手! …… 軽犯罪法「浮浪」適用を退け、別件逮捕を違法とする  3/12   
◆裁かれるのはだれだ! …… 前稿の続き 国家はリヴァイアサン 裁判官vs検察官  3/19 
◆たかが3年、されど3年 …… 本ブログ開始3周年記念。「周」と「目」計算のちがい 耳の患い 拓郎スタジオコンサート  3/27 
◆それはちがう! …… 前稿に見当違いのトラックバックが張られた  3/28
◆成功を祈る! …… 北朝鮮ミサイル打ち上げ 皮肉なパラドックス  3/31
◆2009年3月の出来事から …… 小沢秘書逮捕・起訴、WBCでのイチローの名言  4/5    
◆桜、余談 …… 小林秀雄 抽象化の陥穽 散るとは輪廻の歓びか  4/9
◆成功は失敗の母 …… 北朝鮮ミサイル 政府発表「飛翔体」はおかしい  4/13
◆「午前中に・・・」 …… 拓郎の新譜紹介 至難な「年相応」を達成! 4/17 
◆あの人は今? …… 三好万季 ブラックジャーナリズムの毒牙 カレー事件最高裁判決に疑問  4/22             
◆「いいひと。」 …… 草剛事件 「芸能者」と「都市化」の悲喜劇  4/29 
◆この印籠が目に入らぬか! …… 「思考停止社会」書籍紹介 コンプライアンスが日本をダメにする  5/4             
◆2009年4月の出来事から …… 消費者庁の設置、議員の世襲制限、タイの政争など  5/5
◆乞う御意見 …… 浅田次郎「ま、いいか。」から「三婚説」を紹介  5/8 
◆愛犬の証 …… わが家の老犬を記録に留める  5/13           
◆まぼろしか。 …… 三木露風作「赤蜻蛉」の「まぼろしか」について考察  5/17
◆「エンザ」はどこに? …… 全員がマスク 付和雷同 5/23   
◆アラカン …… 流行語を 拓郎の事績を振り返る  5/29    
◆2009年5月の出来事から …… オバマ大統領「核ゼロ」宣言、裁判員制度はじまる など  6/3   
◆「出来事」番外編 …… 草剛復活、ひったくり犯は警部補に「世も末」とお手柄の高校生が  6/7
◆難点、難題 …… 宮台真司著「日本の難点」から哲人政治を考える  6/11 
◆鳩ぽっぽ 主水 …… 鳩山総務大臣「正義」発言を斬る  6/18
◆ジーパンにTシャツ …… 参観日のカジュアル化 モンスターペアレンツ 6/24
◆芸は身を滅ぼす …… 総裁の座を要求する東国原知事を痛罵  6/30   
◆福島克也 君について …… 浅田次郎著「きんぴか」書評  7/3       
◆2009年6月の出来事から …… 温暖化対策中期目標、臓器移植法改定  7/9
◆ふたたび茨の道へ …… シン(高橋みゆき・女子バレー)引退 7/13
◆旅順の悲劇 …… 愚将の元では悲劇、麻生首相の解散にノー!  7/15   
◆ルビコンを渡る …… 還暦まで残るところ? 7/19 
◆星の王子さま …… 皆既日食 次は26年後  7/24     
◆古い靴下 …… 言い間違い ベルリンの壁崩壊  7/29      
◆喝! …… ドジかボケか、同じ本を二度読む 8/3           
◆2009年7月の出来事から …… 米ロ首脳会談、マクナマラ氏死去など  8/4
◆脱獄 無慚 …… ベルギー脱獄の有罪化 文化的遺産  8/7      
◆夫唱婦随、三相 …… クリントン訪朝 酒井法子逮捕 わが結婚記念日  8/10
◆遠景の花火 …… 齢とともに花火見物は遠方からに  8/15 
◆『ごち』になりました …… ボルト世界新 韋駄天とは  8/19
◆いとこが消えて・・・・ …… ネアンデルタール人vsホモ・サピエンス 文化力  8/26             
◆胡蝶之夢 …… 総選挙「政権選択」 現代版「幻想の易姓革命」  8/28

◇◇後々の推移をみると、「幻想の易姓革命」は近似値だ! しかも露骨な色を帯びて。
 政権「交代」から、なりふり構わぬ政権「維持」へ。さらに「延命」へと変貌するにちがいない。いつか来た道。置き去りにされるのは? ◇◇
 
◆Stand BY Me …… 名画 少年の日 トンネルを潜って隣町へ ジョンレノン  8/31 
◆After Revolution …… 革命後に革命権力内にテロル  9/4  
◆2009年8月の出来事から …… 「こんなはずじゃなかった」派、大原麗子死去、金大中死去など  9/8 
◆須臾の邂逅 …… 同窓会とは過去の自分との出会い 9/11            
◆「秋刀魚は煙にかぎる …… わが家では七輪焼きが恒例 9/13 
◆「世界は分けてもわからない」 …… 書籍紹介 生命は流れの中のよどみ。万能細胞への違和感  9/17               
◆「小さい秋みつけた」 …… 自民党総裁選について  9/20    
◆欠片の主張 その8 …… 年金記録の消失者には、一律・一括賠償金を  9/25

◇◇このあたりから投稿のペースを上げる。ランキング・サイトを去るまでに300本を目指したが、叶わず。◇◇
 
◆真夏の怪 …… 投票日翌日のお礼演説、戸別訪問は違法なのにマスコミは? 9/26                                 
◆「抱きしめたい」 …… 邦題は誤訳に近い ビートルズの過激性を埋め込んだか? 9/29                   
◆好著、一読 …… 野中広務 & 辛淑玉著「差別と日本人」紹介  10/1   
◆2009年9月の出来事から …… 鳩山内閣の品藻、4つのカン違い  10/6
◆釣り合い人形 …… やじろべえ 不安定はわが人生と重なるが  10/8 
◆耳を閉じる社会 …… 生活音条例は都市化の極み 10/11      
◆子の顔が見てみたい …… 二世タレント 遺伝的継承と因果応報を楽しもう  10/13
◆無い物ねだり …… オバマ ノーベル平和賞受賞 謙譲の美徳は?  10/14
◆五輪 断簡 …… 2016オリンピック 東京敗退、リオ決定を歓迎 ヒロシマ・ナガサキ開催にエール  10/16                                       
◆筋書き、無効 …… 加藤和彦自殺 「帰ってきたヨッパライ」のようにはいかない   10/18  
◆番度、蟷螂の斧 …… 官僚支配について考察 選挙制度の改革こそ肝要  10/21
◆秋の色 …… 赤は地球で稀な色。だから興趣を増す。人生の秋もかくありたい。  10/24 
◆道を外れない話 …… 養老孟司氏 講演会レポート  10/27       
◆わが青春の味 …… カップヌードルについて  10/30     
◆歌は世につれ …… Windowsの歴史概説  11/2

◇◇その後購入はしたものの、いまだにバージョンアップしていない。売りのはずの「アップグレード」がごく限られた機種にしか適用されないことが判明。TAの設定から始めねばならぬとなると、大変な手間だ。たまに雲に隠れるものの、今のところストレスのないVISTAで「眺望」を楽しんでいる。◇◇

◆2009年10月の出来事から …… 「ハブ空港」、郵政社長人事ほか 新政権は強権的体質 11/4
◆大きなお世話、好番組と好著 …… 「ブラタモリ」と「街道をゆく」の紹介 虫の目線と鳥の目線  11/6 
◆老兵は死なず、ただ消え去るのみ …… ランキング・サイト離脱  11/9
◆金さんはすっこんでろい! …… 行政刷新会議の事業仕分けは御為ごかし、議会制民主主義の否定に通じる。 11/12                 
◆外注社会 …… 葬儀の業者丸投げ 都市化現象としての外注・外在化  11/16
◆「宣言撤回」宣言 …… 還暦祝いの地デジを贈られ、「レイディオ宣言」を撤回。  11/18   
◆デモクラシーは『印籠』ではない …… 「民主主義とは何なのか」書籍紹介 選挙制度の改革を  11/27   
◆疾風が如く …… 「吉田拓郎 疾風伝」書評  12/5
◆2009年11月の出来事から …… 普天間基地移設問題、オバマ来日~ヒロシマ訪問は「踏み絵」、デフレ宣言、亀田勝利、森繁久弥死去  12/8   
◆聞き捨てなりません! …… 天皇会見についての小沢幹事長発言を斬る  12/16
◆この冬一番のプレゼント …… 浅田次郎著「ハッピー・リタイアメント」書評 物足りない、食い足りない。12/26       
◆K君への詫び状 …… 保育園時代の写真、未発見 「バック・トゥ・ザ・フューチャー」  12/30 

■ 2010(平成22年)
◇◇ランキングを離れたこともあり、近年恒例となった正月前後の体調不良にも見舞われ(年末からギックリ腰で四苦八苦)、元旦号は取りやめた。替わりに2日、苦痛の中で読んだ書籍を紹介。◇◇

◆大きな物語 …… 内田樹著「日本辺境論」紹介  1/2          
◆奇蹟の人 …… NHK正月番組「まど・みちお」から  1/5  
◆繰り言 …… 「坂の上の雲」映像化に反対  1/8   
◆2009年12月の出来事から …… 予算案に幹事長の助け船、石川遼がハウツーもののテレビに など  1/12 
◆日本一の山 …… NHK教育「美の壺」から 富士山所感  1/19 
◆瑣末ながら …… 拙宅の郵便受けの蓋を修理 新聞界に厳しい試練  1/22  
◆夜郎自大のおそ松くんたち …… 小沢政治資金問題で与党が検察と対峙  1/27
◆あのラストシーン …… 風力発電は景観破壊、電力のゴミ、ゴリ押しの政策誘導  1/30 
◆2002年1月の出来事から …… 臭い! 首相所信表明演説、米オバマ政権が金融規制強化案、昨年の交通事故死者5千人割る ほか  2/3      

 振り返ると、蹣跚たる足どりではあったが、殊の外長い道程(ミチノリ)を歩んで来たような気がする。どこかで触れたが、カメラを始めた人が日常の風景に新たな発見をするように、投稿のプレッシャーが日々の出来事やその深層に目を向けさせてくれたようだ。愚にもつかぬ拙稿でさえも披陳できるブログには感謝したい。ただ他人様にとって毒にはなっても、なんの薬にもならないが。
 さて、次回は302本目。減らず口がいつまで続くか。お立ち合いだ。 □


伽草子 クロニクル 2/3

2010年02月10日 | エッセー

■ 2008(平成20年) 
◆New Year's card from Ratkid …… 鼠小僧次郎吉の独白  1/1 

◇◇年越しは純粋に人為であるはずなのに、越えた途端に本来自然に属す体調に異変が生じた。頗る悪い。胸苦しくて、呼吸が辛い。仰向くと背中が痛む。横を向いても寝苦しい。三が日が明けて病院へ。と、その後は「囚人(メシウド)の記」1. ~3. に綴ることとなる。◇◇

◆にくいタイトル …… 「ALWAYS 三丁目の夕日」の“ALWAYS”について  1/4
◆2007年12月の出来事から …… 教科書の検定意見を事実上修正、パキスタンのブット元首相暗殺など  1/6                 
◆大人の味、極上の時間 …… 拓郎の新譜「歩道橋の上で」を紹介  1/8 

◇◇身体絶不調のなか以上3本を投稿したところで、ついにダウン。13日未明に入院、つまりは逮捕となった。様々な容赦ない取り調べの結果、2月中旬に上級院へ移送。2月21日、ついに刑の執行がなされた。いや、7時間に及ぶ愛?の執刀がなされた。
 以下、次稿から「囚人の記  3.」までは、当初収監された下級院で白衣の獄卒の目を盗んで書いた。友人のPCからUPしてもらい、1月下旬からはたまの『シンデレラ・リヴァティー』に自宅から投稿した。移送を前に5本。同室の囚人たちには、カタカタというキー音がさぞ耳障りであったろう。ただ、夜を徹してそれ以上の音量で鳴り響く鼾と、遠い独房から伝わってくる異様な雄叫びにほとんど相殺されてはいたが。◇◇

◆銀河の向こう …… 「六次の法則」について  1/21
◆親の因果が子に報い …… 給油法案可決 福田首相の一本勝ち  1/26     
◆囚人の記  1.  …… 藪医者について 入院の経緯  1/29 
◆2008年1月の出来事から …… 米大統領選、道路特定財源・暫定税率、田中政治など  2/3
◆囚人の記  2. …… 逮捕について  2/10

◇◇このあと上級院へ身柄が移され、身体拘束。ブログを書くどころか、顔もカけない。約1カ月間のインターバルとなる。3月8日、釈放、自由の身に。囚人服を脱ぎ捨て、いの一番で「吉野家」へ。人生最高の美味に嗚咽する。至福の時は瞬く間に過ぎ、約1カ月間の自宅軟禁に。◇◇

◆2008年2月の出来事から …… イージス艦事故、ロス疑惑など  3/11
◆囚人の記  3. …… 病院食、早朝の採血、インスパイア  3/13      
◆ねこまんまは猫跨ぎか? …… 「混ぜる」行為に懐疑心を  3/16
◆巧い!! …… 浅田次郎著「壬生義士伝」感想  3/20
◆ダマされる前に、ぜひお読みください …… 「ほんとうの環境問題」紹介  3/24
◆学徒出陣?? …… 甲子園大会入場行進に違和感  3/27
◆月極のエイプリル・フール …… ガソリン暫定税率時間切れ  4/1
◆2008年3月の出来事から …… 日銀総裁空白、新銀行東京へ追加融資など  4/6
◆古道散策 …… 海沿いの道 古びた港 拓郎「都万の秋」など  4/10
◆ホテルと映画館 二題 …… 日教組集会を拒否したホテル 映画「靖国」上映中止  4/15
◆「とは」とは? …… 松井秀喜の常套句をチクリ  4/19

◇◇4月21日、職場に復帰。なんと、机は残っていた! ついでに山のような仕事も。◇◇

◆「四権」?国家 …… 官僚主権の淵源は光源氏に? 4/26
◆卒業 …… 禁煙『卒煙』について  4/30
◆2008年4月の出来事から …… 自衛隊イラク派遣に違憲判決など  5/5
◆光は射したか …… 光市事件差し戻し控訴審にオブジェクション  5/11
◆「へーん、しん!」 …… かつてのマドンナと再会を果たす  5/16

◇◇同窓会 ―― 昨年末以来の『メインストリーム』に戻る。何度も打ち合わせのため面会に通ってくれた同級生たち。主役は交代したものの、ストリームを途絶えさせるわけにはいかない。あと3カ月後に迫っている。はたして、ついに、やはり、もっとも、ああー、憧れのマダンナ(ネイティヴな発音)が役員会にお出ましとなった。◇◇

◆続・芯の強い子、元気な子 …… SHIN(高橋みゆき・女子バレー)のインタビューについて  5/26
◆憤慨に堪えない …… ISSのトイレ故障 6/2
◆一口では言えない …… 苗字&「芋洗坂係長」について   6/4
◆2008年5月の出来事から …… 日中首脳会談ほか  6/9  
◆バカタレ …… おバカなタレントについて  6/15
◆「エコ贔屓」はいけない …… 再び環境問題について  6/20
◆能力とは悩力なり …… 姜 尚中著「悩む力」紹介  6/27
◆雨、粗描 …… 少年の日の情景  石の文明  7/3
◆2008年6月の出来事から …… アキバ事件、宮城・岩手内陸地震ほか  7/6
◆壱万円が泣いてらー …… 大分県教委贈収賄事件  7/15
◆先割れスプーンで猫飯を喰いますか? …… 再び「みたい語」と「思う」を難ずる  7/19
◆食、二話 …… ウナギ偽装 低い食糧自給率は平和国家の与件 世の大勢に逆らってみた  7/26
◆電話もできるケータイ?!  …… ケータイについて  7/30 
◆2008年7月の出来事から …… サミットほか  8/4
◆「地球村の超人運動会」が始まる …… 北京オリンピック 国家から個人へ  8/8
◆集まり、散じて …… ついに同窓会開催 団塊の世代について  8/20

◇◇終わった。正確にいえば、私の中では「同窓会」そのものが終わった。「故郷は遠きにありて想ふもの」の伝でいけば、齢を重ねたとはいえ生きている以上は生臭いのだ。番度メニューが生ものでは下痢を起こす。「遠きにありて」がいい。ただ合縁奇縁、同窓の友人は別だ。「会」は忘れたころで丁度よい。◇◇

◆さらば、排球の佳人たち …… オリンピックで女子バレー敗退  8/24
◆『アメリカ オリンピック』が始まる …… 米大統領選  オバマについて  9/1
◆セプテンバー・クレイジー!!  …… 大分県教委事件の小学校で始業式、校長がトンデモ話  9/1
◆2008年8月の出来事から …… 赤塚不二夫逝去 タモリ弔辞、鷲田阪大総長の警句ほか  9/7 
◆『貞子』の一撃 …… ギックリ腰になって  9/16  
◆小判、炎上 …… きたじまメンチカツ(北島康介の実家) 朝青龍  9/17 
◆委員長の透かしっ屁 …… 自民党総裁選投開票での臼井氏の絶妙な発言 9/23 
◆贈りものは「大説」 …… 司馬文学は「智の文学」  9/27 
◆2008年9月の出来事から …… 中山大臣失言 米国発金融危機など  10/5
◆走れ! 一発屋 …… 鼠先輩  10/9         
◆城跡にて …… 体力試しに城山を登る 10/15
◆きほんの『き』 …… 貨幣の本質、その幻想性と投機性  10/22   

◇◇リーマンショックに触発されて、何度か愚案を巡らした。本質に掠りもしない斉東野語ではあるが。◇◇

◆二推しのリテラシー …… 野口悠紀雄著「超『超』整理法」から  10/30  
◆2008年10月の出来事から …… 航空幕僚長更迭、三浦社長自殺ほか  11/2
◆ギターケース抱えて歩いたよ …… 筑紫哲也氏逝去 「朝日ジャーナル」 11/9
◆現代の『言葉使い』 …… 浅田次郎 評  11/16 
◆「だれでもいい」と「どうでもいい」の間 …… アキバ事件 傍観するな! 11/19 
◆人蕩し …… 司馬遼太郎「新史 太閤記」から人間観  11/26 
◆「おふくろさん」と「キャンユー セレブレイト」 …… 『おふくろさん騒動』と小室事件 著作権の二面性  11/30  
◆迷走、迷想200回 …… 200回記念 イチロー、享保の改革、第九など  12/6
◆2008年11月の出来事から …… オバマ勝利など  12/9
◆「元気ですか!!」 …… 「『健康』という病」書籍紹介  12/15   
◆欠片が選ぶ 2008年の名言・迷言 …… 「あなたと違うんです!」「わたしもあなたの作品の一つです」 12/25

◇◇次の年は5回目の年男。アラカンから『中カン』?へ。元旦の投稿へ知恵を絞る。◇◇ □


伽草子 クロニクル 1/3

2010年02月08日 | エッセー

  300回の記念に、分不相応、御大層な企てを試みる。
 愚考のままに駄文を書き連ねて46カ月、ついに300本目に達した。だが、決してゴールではない。節分は過ぎたが、拙文はまだ続ける。(失礼!) しかし、せっかくの節目である。紆余曲折、竜頭蛇尾、おまけに支離滅裂で卑屈、屈折の4カ年、佶屈の300本を振り返ってみる。伽草子のクロニクルと、洒落てみたい。
  
■ 2006年(平成18年)
 3月27日、自身、眷属の内、誰の誕生日でも祥月命日でもないこの日に、「伽草子」はスタートした。思い立ったが吉日、それだけのことであった。
 初回は、
◆寅さんの声が聞こえる …… 寅さんの語録であった。 3/27
 続いて、
◆ヘンなことば …… 最近のことば事情 3/27      
◆野球 大発見 …… 野球はスポーツにおける将棋であると、自説を開陳。  3/28 
◆勝負師!  荒川静香 …… トリノオリンピックのあった年だ。荒川は引退するだろうと予測、的中した。  4/1
◆“爆笑問題”の問題 …… 文化賞授賞への批判をチクリ  4/4   
◆花より団子 …… 花見について  4/6         
◆サインはV …… 女子バレーものの最初  4/10         
◆「そんなヤツ、おらんやろー」 …… 当時のギャグ 児童画展の感想  4/13
◆恐竜の尾っぽはながーい! …… “ウェブ2”について  4/15
◆へんなことば ―― 「こないだの続きですかね」 …… 続・最近のことば事情  4/17
◆死に神の名刺 …… 黒澤映画「夢」から核について  4/22
◆赤いちゃんちゃんこ …… ここから、いよいよ拓郎ものを始めた。この年の4月、彼は還暦を迎えた。  4/26

◇◇ブログタイトルに借用している「伽草子」は『とぎそうし』と“素直に”読むが、拓郎の曲は『おとぎそうし』と読む。なぜ『お』が付くのか、謎だ。尾鰭が付くのはたいがい後にだが、アタマに付くのはなんとも不思議だ。博学の士よ、是非とも教えを垂れ給え。◇◇

◆白面はいけません …… テレビメディアへの批判は幾度となく繰り返すことに。その皮切りである。タモリの名言を引用した。  5/1
◆男はつらいよ、みんなつらいよ! …… 「十年後の日本」書籍紹介  5/8
◆老人力、ついてますか? …… 高齢社会について  5/11
◆常識のウソ …… タイトルそのまま  5/13
◆足元注意! …… 自衛権について  5/17    
◆山が消えた! …… 黄砂  5/20
◆恩が仇になる  …… 政治と法律のアンビヴァレンツ  5/28
◆When I'm sixty-four  …… ポールマッカートニーについて  6/1
◆望遠鏡と寝台 …… ホリエモンにエールを送ったのだが、いま振り返ると??  6/6
◆しゃれた置き土産 …… 三回忌に先妣に触れた  6/13  
◆醜悪なる連鎖 …… 止まぬ民族紛争の連鎖  6/19
◆ガンバレ!  ニッポン! …… サッカーの発祥など  6/22   
◆奇想! 壬申の乱 ……  紀子妃懐妊 『奇想』シリーズ初出  6/24   
◆怪説  ラヴ・ロマンス …… 吉本隆明など  6/29  
◆ぞろ目にはかなわない! …… 染色体から男の特性  7/4 
◆裏山に歴史あり …… 奇兵隊の駐屯地  7/6
◆異論?  反論?  オブジェクション? …… 女性芸能人寸評  7/11
◆異論?  反論?  オブジェクション?  <余録> …… 同上 その2  7/13 
◆下手の言い訳 …… 写真について  7/15
◆露鵬 乱心 …… 相撲文化とは  7/21
◆ひかぬが華か …… 風邪  7/29
◆いわゆる一つの宗旨替えか? …… 巨人解体論 巨人再評価  8/2
◆夏、祭りのあと …… 醍醐味は祭りのあとにある、と。  8/9
◆たかがジャンケンと言うなかれ! …… 文化論  8/14
◆DOGは『いぬ』と読む? …… 訓読みは世界史的発明  8/20
◆キケンな本 …… 浅田次郎著「勇気凛凛ルリの色」感想  8/24 

◇◇この年は、生涯記念すべき二つの出来事があった。一つが作家・浅田次郎を知ったこと。二つ目は「つま恋コンサート」である。後述するが、ついにイケない『アサラー』(浅ラー)の道に誘(イザナ)われ、虜と化した。嵌まったのである! 感嘆符で表現できるほどその感嘆は『簡単』ではない。だから拙稿を綴った。しかし意を尽くしたとはいいがたい。爾来、今日に至る。アサラーの道は果てなく、極めがたい。◇◇

◆排球の佳人たち …… 女子バレーもの  9/1
◆知己について …… 浅田次郎の『伝道師』  9/7
◆2年B組 学級レポート …… 政治風刺 このシリーズ第1回  9/13
◆もう一人のグル …… 金正日  9/19 
◆高唱について …… 浅田次郎著「蒼穹の昴」感想  9/26
◆秋、祭りのあと …… 「つま恋コンサート」  9/30

◇◇2006年のヤマはここであった。参加は叶わなかったものの、テレビにかじりついた。相撲中継を挟んで、そのほとんどをBSは送り続けた。まんじりともせず画面の前から動かなかったのは、69年7月のアポロ11号月面着陸放送以来だ。
 稿の結びに ―― 一期一会、祭りは跳ねた。もう「つま恋」はない。永い「祭りのあと」が始まった。白虎となった彼は存分に白秋を味わうに違いない ―― と綴った。彼のその後は意外にも、別の展開を見せる。◇◇
   
◆遠景素描 …… 少年の日の想い出  10/5 
◆奇想!  「戦国自衛隊1549」 …… 北朝鮮核武装から  10/13 
◆されどジョーク …… 書籍紹介  10/19
◆お客様は神様です! …… 芸人に苦言  10/27
◆新庄の新庄による新庄のための・・・ …… 新庄剛志にエール  10/31
◆第50回記念「おまえの話はつまらん!」 …… 腹芸 核武装 ジャーナリズムのウソなど  11/2
◆一瞬の笑顔 …… 女子バレー・高橋みゆき  11/6
◆犬の遠吠え …… 『とか』弁・『方』言にクレーム 欠片の主張 その1  11/11
◆捕手は投手に従え?? …… 城島の苦闘 野球文化の違い  11/16
◆キムタクと哲也 …… ジョージアCM  11/19       
◆干支、えーと?? …… 年賀状の考案  11/25
◆「おかずを思う」か?  …… 「思う」の多用に警鐘 欠片の主張 その2  11/30     
◆ミノルホド コウベヲタレル イナホカナ ……  拓郎コンサートのレポート  12/4
◆12/8 …… 「イマジン」   12/8
◆ドストエフスキーの「白地」?? …… 差別語の変換 言葉狩り 欠片の主張 その3  12/11
◆2年B組 学級レポート その2 ……  安倍総理  12/14
◆極月  雑感 …… 歳末の風物  12/20
◆ストーリーテラーに乾杯! …… 浅田次郎著「中原の虹」1・2 感想   12/27
 と、腰折れ文を連ねて62本。かくて年は明けた。


■ 2007年(平成19年) 
◆欠片のジャンク年賀状 …… イラストのみ 元旦0時00分にアップ  1/1
◆これで括って納得しようか…… 「宙船」 中島みゆき  1/6
◆毎朝読んで …… 元旦号社説 日本よ自信を持て  1/12
◆こいつぁ、春からキレがいい! …… 落語論 コミュニケーションについて  1/17
◆納豆に恨みはない! …… テレビメディアの危険性  1/22
◆日曜はお休みですか? …… アンチウイルス・ソフトのアップデート 欠片の主張 その4  1/28 

◇◇前年後半から、ブログの年代別ランキングサイトで首位を維持してきた。その後も常にベスト10以内に踏みとどまって、09年11月に至る。◇◇

◆誰だ、それは? …… 「国民の皆さん」は変? 選挙制度の問題 2/1  
◆雪 三様 …… 雪景色  2/7
◆うへぇー! 世の中、ゴミだらけ!! …… 社会調査のウソ  2/12
◆お宝 二枚 …… ヴァレンタインデーに因み  2/17
◆奇貨可居 …… 藤原紀香結婚式 型と平等社会  2/21
◆奇想! 喇叭卒 …… 殉職警官を模範にするな  2/22
◆奇想、天外へ! …… 核廃棄物をロケットに詰めて宇宙へ  2/28
◆PLEASE MISTER POSTMAN …… わが家の郵便誤配騒動  3/4
◆2年B組 学級レポート その3…… 三度(ミタビ)、安倍総理について  3/8
◆ニッポン・サバイバル …… 姜 尚中著「ニッポン・サバイバル」紹介  3/13
◆パブロフの犬」? …… 謝罪会見 テレビ論  3/17 
◆ふたたび、「お前の話はつまらん!」 …… 満1年を迎えて  3/23
◆人格ということ …… 姜 尚中著「在日」感想  3/27
◆絶筆 宣言 …… エイプリル・フールに事寄せて  4/1
◆一枚の寫眞 …… 浅田次郎著「活動寫眞の女」 東大闘争  4/4
◆人間の「い」 …… イ抜きことば  4/8
◆名言 ベスト1 …… 晋作辞世の句  4/14  
◆ムニュには飽いたか? …… 「千の風になって」について  4/17
◆旬の本にイナバウアー  …… 「ダ・ヴィンチの謎  ニュートンの奇跡」紹介  4/21
◆お江戸でござる …… 江戸しぐさについて  4/26
◆東方見聞録 …… 上京の記録  5/3            
◆朝日がサンサン  おはようサン …… 5月3日付け朝日新聞社説から  5/7 
◆「お言葉」を拝して …… 「裁判官お言葉集」紹介 裁判員制度反対 欠片の主張 その5  5/11
◆カズかヒデか        絶頂を過ぎての生き様2類型  5/16     
◆奇譚!  ビヒーモスVS.リヴァイアサン(上) …… ネット 対 リアル世界 権力 サブ・カルチャー  5/22 
◆「ちゅうげんのにじ」だい3かんをよんで …… 浅田次郎著「中原の虹」第三巻感想  「悪女」定説への挑戦  5/23
◆奇譚!  ビヒーモスVS.リヴァイアサン(下) …… この稿は竜頭蛇尾の代表  5/27         
◆なぜ、おもしろいんだ!? …… 今は『無き』?ムーディ勝山について  5/28
◆2007年5月の出来事から …… トヨタ、国民投票法成立ほか  6/3

◇◇いままで極力避けてきた時事ネタを、この回から『出来事シリーズ』として始める。本ブログにとってひとつの画期であった。◇◇ 

◆新聞、ガンバレ! …… 長いスパンのフォローアップ記事を 欠片の主張 その6  6/7
◆今時、蓑は着ないでしょう …… みのもんた を斬る  6/9
◆第100回記念 ――   奇想!「寅さんの声が聞こえる」 …… 寅さんは「林住期」の現代的体現者だった!  6/13          
◆小さな親切 大きなお世話 …… ワープロの弱点 父の日  6/17
◆川、諸相 …… 梅雨時の川など  6/22                     
◆51番目の!? …… 9条解釈、自衛権・集団的自衛権について  7/1
◆トワイライトはお好きですか? …… 浅田次郎著「憑神」書評  7/4
◆2007年6月の出来事から …… 牛肉偽装など  7/8
◆『らも教』について …… 中島らも 考  7/11
◆祭だ、祭だー! …… 泡沫セレブ候補、「街頭」の虚構性(公選法)  7/14
◆いまどき「ことば」考 …… 『うなずき』  『組合』  7/19
◆いまどき「ことば」考<続編> …… 「みんなで国語辞典! これも、日本語」より  7/21
◆「ここ掘れ、ワンワン」欠片の主張 その7 …… 災害時、自衛隊は井戸を掘れ 7/26
◆長生きは『事故』か? …… 年金問題 脳化社会と自然とのズレ  7/30
◆「純情」 ―― レクイエムではなく …… 阿久悠氏への誄として  8/2
◆2007年7月の出来事から …… 久間「原爆発言」、三越&伊勢丹合併へ など  8/8
◆天意ということ …… 参院選を振り返る  原点への回帰  8/11
◆しもた屋の風景 …… わが町でもメーン・ストリートの衰退  8/18
◆FOREVER! 『LUCY  IN  THE  SKY  WITH  DIAMONDS』 …… 中島らも著「今夜、すべてのバーで」を読んで  8/24  
◆奇想ではなく 「赤紙」!  …… 「裁判員制度の正体」を紹介し再び反対  8/30
◆2007年8月の出来事から …… 高校野球ほか  9/4
◆どんだけー?! …… 流行語大賞に異議あり 「24時間テレビ」批判  9/11
◆芯の強い子、元気な子 …… SHIN(高橋みゆき)称讃  9/15
◆こいつは笑える!  お奨めの一書 …… 「世界一くだらない法律集」から  9/19
◆改むるに憚ること勿れ …… 既稿の誤りを訂正  小田実氏の遺稿から  9/21
◆欧米か!? …… 衆参逆転国会について  9/26       
◆控えのカナ …… 美人について 「控え」とは哀切の結界  10/2 
◆2007年9月の出来事から …… 安倍辞任、福田内閣誕生、時津風部屋問題ほか  10/7
◆奇想! 「鉄人28号」 …… 哲人政治について  10/12
◆KY …… 空気を読めないと危険予知  10/16      
◆山頂にて …… 登山は飛ぶことの代替行為か  10/23
◆「虹の魚」に似て …… 拓郎コンサート中止について  10/29 
◆2007年10月の出来事から …… 亀田反則、赤福餅、福田・小沢会談など  11/4
◆ことしも干支、えーと?? …… 子年  鼠小僧次郎吉  11/8
◆そして王者は、長城を越える。 …… 浅田次郎著「中原の虹」第4巻の感想 時代の幕を引く者  11/13 
◆千慮に一得 …… 「日本人の精神と資本主義の倫理」茂木健一郎&波頭亮 を紹介  11/20
◆そうは問屋が卸すまい …… ES細胞、再生医療への違和感  11/26    
◆2007年11月の出来事から …… 前防衛事務次官逮捕など12/3    
◆「流行語大賞」に異議あり …… 東国原知事の徴兵制発言に 12/6
◆「訴えてやる!」 …… 同窓会計画 マドンナについて  12/13

◇◇小学校の同窓会が来年夏に予定され、この期(ゴ)における自分史のメインストリームが始まった。ところが、年明け早々どんでん返しが …… 。◇◇ 

◆極月、「ヤケのヤンパチ」 …… 年末新風物 電飾  12/18
◆御高説を傾聴すべし …… 団藤元最高裁判事インタビュー記事  裁判員制度批判  12/25

 足掛けの2年が過ぎ、ほぼジャンル別に束ねることができるようになった。
 
   現代言葉考
   吉田 拓郎
    民主主義
   時事
   メディア考
   書籍紹介、書評
    スポーツ(特に女子バレー)
   歳時記(風)
   私事折々
   昔日譚

といったところか。シリーズとしては、
   「欠片の主張」
   「奇想」
   「2年B組」 …… これは後、学級崩壊に至る?! 
    「出来事から」

 市井のディレッタントには分に過ぎる大仰な稿となった。しかし、続けてはみるものだ。少なくとも、生存の証明にはなる。
 しかして2年は瞬く間に過ぎ、生涯忘れ得ぬ波乱の年が迫っていた。 □


2010年1月の出来事から

2010年02月03日 | エッセー

<政 治>
●通常国会が開幕
 政権交代後、初めて(18日)。鳩山由紀夫首相が施政方針演説(29日)
 ⇒ 普通鼻をつまむものだが、あんまり臭くて耳を塞いだ。内閣官房参与などという訳の分からない官職に召された平田オリザの入れ知恵らしい。「命を守りたい」から始まり、鉄人28号に至る1万3000字、52分を費やして語られたのは、はたして政治理念であろうか。ガンジーの遺訓にいう「理念」とは似て非なるものではないか。
 哲学の高みから醸されるものが理念である。生き様に裏打ちされてこその理念である。月に1500万もの『子ども手当』を支給され、しかもそれを知らなかったなどという能天気が万言を弄(ロウ)そうとも、言の葉は朽ち葉となって空しく宙を舞うばかりだ。ましてや「労働なき冨」を挙げるにいたっては悪い冗談、超ブラックユーモア、笑えない漫談とは知りつつも、飲みかけの缶コーヒーを缶ごと吹き飛ばしてしまった。中学生の弁論大会の方が、まちがいなくもっと立派で誠実で正直だ。
 演説後に「理念型で具体性が乏しいという批判が来るのではないかと思いながら、演説をした」と宣(ノタモ)うたそうだ。ご心配なく。『理念型』なんという勘違いは誰もしていない。ただ「具体性が乏しい」どころか、芬々たる臭気という直接的、身体的、生理的具体性は十全に満たしていた。その点の批判は全く当たらない。当日は日本中のラジオとテレビが異臭に塗れていたのだから。かつ異臭は夜半まで続き、明くる日の新聞とともに各戸に配『臭』された。
 方針を語るべき演説で似非理念を垂れねばならぬのは、とどのつまり語るべき方針がないからだ。これ以上の食言を避けるためだ。自語相違を突かれぬためだ。自家撞着を暴かれないためだ。誰にも異論のない大向こう受けを狙うのは、つまり失語であり唖法ではないか。何も語っていないのと同等である。
 『政治プロ』に庇を貸したばっかりに母屋を取られた超お坊ちゃまが、据えられた床の間、上座で与太を放(コ)いている。有り体にいえば、そんなところだ。

●沖縄名護市長選
 米軍普天間飛行場の移設反対派、稲嶺進氏が当選。辺野古への移設が困難に(24日)
 ⇒ 前々回の本ブログ「夜郎自大のおそ松くんたち」に引用した西部 邁(ススム)氏の論によると、「議会制民主主義あるいは代議制は政治にたいする世論の直接的影響を断ち切るための制度である。世論にそのまま添って動くのが直接民抗制なのであって、代議制という形をとる間接民主制は世論から一定の距離をとる、または世論の及ぶ範囲を限定するものである。」という認識の欠落が政治の根腐れを起こしている主因だそうだ。
 ならば、あの貧相な平野官房長官が「選挙結果を斟酌していたら何もできなくなる」と発言したことはあながち的を外してはいない。いな、正直でもある。ただし、政治的練度、センスがまったくない。からきしない。哀しいくらい、ない。内閣の大番頭が顔に似て中身もプアーだとは、国民にとってひとつの不幸ではないか。なお、当選した市長は民主党の公認であった。これもまた、なんとも皮肉だ。

<経 済>
●米オバマ政権が金融規制強化案
 銀行と証券の垣根を高める案に業界猛反発
 ⇒ 29年に起こった大恐慌の反省から、33年に「グラス・スティーガル法」が制定された。銀行と証券会社との兼業を禁ずる法である。貯蓄と投資を截然と別け、金融の信頼と安定を取り戻すためであった。ところが66年後、99年、クリントン政権の末期にこの法が骨抜きにされる。「金融サービス近代化法」が発効し、規制緩和の名ものとに再び兼業が認められた。事実上の撤廃である。ここから金融腐敗が進み、「百年に一度」へと繋がっていく。同法の立役者となったのは当時の財務長官ロバート・ルービンと、FRB議長アラン・グリーンスパンであった。この二人を「百年に一度」の極悪人と呼ぶ識者もいる。
 今回のオバマ政権の取り組みは、歴史に学ぶことを忘れた大国が再び学習機能を働かせたともいえよう。同じ民主党(日本ではなく、アメリカの)が蒔いた種だ。反省のない業界の猛反発は救いようもないが、オバマ大統領が尻拭いするほかあるまい。

<国 際>
●ハイチでマグニチュード7.0の大地震
 首都ポルトープランスが壊滅状態に(12日)
 ⇒ 別に親戚がいるわけでも知人がいるわけでもないが、一報を聞いた時、隣国のドミニカが気になった。「ドミニカの奇蹟」を生んだホアキン・バラゲール元大統領の記憶が強かったためであろうか。首都のサントドミンゴとは200キロそこそこしか離れていない。これといった報道がないところをみると、首都を含め隣国は無傷だったのだろう。
 カリブ海の最貧国である。その国に、世界の最貧国の一つであるコンゴから2億3千万円の支援金が送られた。世界第2位の経済大国・日本はどうか。初動が遅い。コンゴに笑われる。
 阪神・淡路大震災の際も、当時の村山内閣の動きがかなり鈍く批判を浴びた。政権発足約半年後のことだった。現政権もほぼ同じ時期に当たる。政権交代には、なにやら同じような力学が働くのであろうか。「命を守りたい」は、まさか地域限定ではなかろうに。

<社 会>
●昨年の交通事故死者5千人割る
 4千人台となるのは57年ぶり。警察庁まとめ(2日)
 ⇒ 労働災害の経験則にハインリッヒの法則がある。「一つの重大事故の背後には29の軽微な事故があり、その背景には300の異常が存在する」というものだ。かつてニューヨークではこの法則さながら軽微な犯罪の取り締まりに徹底して取り組んだところ、殺人を含めた重大犯罪が激減したという事績がある。
 昨年の快挙も、「300の異常」への厳格な対処が営々と積み重ねられてきた結果であろう。まことにめでたい。筆者ももちろん『協力』した。幾度となく、 …… 痛恨の泪とともに。読者諸氏にも何度かはおありであろう。ええい、ないとは言わせない。
 「ねずみ捕り」は、「300の異常」への厳格な対処の筆頭である。ああー。

<哀 悼>
J・D・サリンジャーさん(「ライ麦畑でつかまえて」で知られる米国の作家)91歳(27日)
 ⇒ 高校生の時だった。同級生の姉が「卒論にサリンジャーを書いている」と言った。最初にこの作家の名前を聞いたのは、その時だった。綺麗な人だった。早世したと聞く。作家の訃報を聞いて、彼女の颯爽たる容姿が浮かんだ。片やサリンジャー氏は長寿であった。寡作で隠遁。謎めいた作家であった。

※朝日新聞に掲載される「<先>月の出来事から」のうち、いくつかを取り上げた。すでに触れたもの、興味のないものは除いた。見出しとまとめはそのまま引用。 ⇒ 以下は、欠片筆。 □