孔子(クジ)の倒れか、看板女子アナがビルの5階から墜落したり酒の不祥事を起こす。はたまた、天才少女と騒がれたわりには日本一にもなれず、いつも期待倒れ。世の中そんなものだといってしまえば身も蓋もないが、どっこい、臥薪嘗胆の暁に汚名返上、名誉挽回した“女子”もいる。最近の話題から、2人をピックアップした。
〓〓元フジテレビ・アナウンサーの菊間千乃(ユキノ)さん(39)が、今年1月から都内の法律事務所で、弁護士としての第一歩を踏み出している。
菊間さんはアナウンサー時代から弁護士を目指していたが、07年に退社して本格的に受験勉強を開始。10年に、2度目の挑戦で合格を果たした。在職中は、スポーツ中継や「めざましテレビ」などに出演していた。
10年の司法試験の合格率は前年より2.2ポイントさがって25.4%、4年連続で下がっている中、見事最難関を突破した。退職からおよそ4年、夢を実現した菊間さんはフジテレビの社外法律顧問をしている会社に就職が決まっている。
13日には、司法試験挑戦の日々を記した『私が弁護士になるまで』も文藝春秋から刊行された。〓〓(ネット・ニュースから)
魚の木に登る如しとはいわぬまでも、三十路を遥か過ぎての司法試験への挑戦、合格は星を数うる如しとはいえる。大変でした、がんばりましたの成功譚は山ほどあるが、まさに奈落からの起死回生はそうそうあるものではない。おまけに古巣への恩返しもとなれば感は極まる、極まる。さらに自伝の出版に至っては、商魂も逞しい。見事である。あっぱれである。まことに会に逢わぬ花はない。
〓〓「天才少女」が悲願の頂点に立った。卓球の全日本選手権女子シングルスで21日、福原愛(23)=ANA=が初優勝。11歳から出場し続け、13回目の挑戦で、ついに栄冠を手にした。
「夢なんじゃないか」。福原は泣いた。3歳9カ月で卓球を始め、試合で負けて母親の前で泣きじゃくる姿が放映されて「泣き虫、愛ちゃん」と人気者になった。14歳で世界選手権8強、15歳でアテネ五輪、19歳で北京五輪に出場。王国・中国で最高峰の「超級リーグ」にも挑んで力をつけ、世界の舞台で結果を残すのに、このタイトルには縁がなかった。「全日本では違う自分みたいになってしまう」とこぼしたこともあった。
今夏のロンドン五輪代表に内定している。「一回りも二回りも大きくなった自分を見てもらいたい」。次は日本卓球界初の五輪でのメダルを目指す。〓〓(1月22日付朝日新聞)
若くして卓球の顔とはなったものの、主座を襲うことはなかった。塁を摩するばかりだったともいえる。昔「あいちゃん」、今「まなちゃん」である。「まおちゃん」の輝きにいつも霞みつづけてきた。それがついに面目躍如である。なんとも清々しい。「大きくなった自分を見てもらいたい」とのコメントには泣ける、泣ける。こちらも会に逢わぬ花はない、である。それも五輪の花だ。
あしたから永田町のお化け屋敷で、魑魅魍魎が立ち回るドタバタ三文興行が始まる。起死回生も面目躍如も、到底期待はできぬ。鬱陶しい茶番劇の幕開けを前に、この話題、一服ならず二服の清涼剤である。2人の“女子”に、掛け値なしの快哉を叫びたい。やったねー! □