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山根一郎の極私的近況・雑感です。職場と実家以外はたいていソロ活です。

雲はどうしてできるの?:気象学超入門3

2023年03月16日 | お天気

雲の正体

その前に雲は気体・液体・固体のいずれでしょうか?

雲は空気中にぷかぷか浮いているから気体だろって? 

なら霧の中に入ったことある? 
霧は雲の中のこと.
登山者の間では霧のことを「ガス」というけど.
霧=雲は白いガス(気体)ではありません.

雲は水蒸気が凝結してできた雲粒(うんりゅう,くもつぶ)の集まりです.

雲粒の元の水蒸気は、水が蒸発してできた気体です.

その気体(水蒸気)が凝結(蒸発の逆の現象,冷たいグラスに水滴がつく時)してできた雲粒は液体です.
※:要するに蒸発は液体が気体になることで、凝結は気体が液体になること。

そして雲粒が成長または合体して粒の直径が大きくなって(重くなって)地上に落ちてくるのが雨滴です.

そういうわけで(だいたいの)雲は液体ということになります.

ただし,高さ10000メートルくらいにある巻雲(すじ雲)の雲粒はでできているので,固体ということになります.
すなわち雲は少なくとも気体ではありません

そこで本題に進みますが、.
雲ができる=水蒸気が凝結する,とみなせば,冷たいグラスに水滴がつく現象を雲ができることの説明に使えます.


◇凝結

透明な大気中には水分は水蒸気という気体(目に見えない)の状態で存在しています.
でも水蒸気は無限に存在できるのではなく,一定以上の量になると「飽和」して,それ以上は水蒸気の状態では保てず,凝結して液体(目に見える)になります
(その時の大気中の水蒸気密度を「飽和水蒸気密度」といいます).

ではどのくらいの量の水蒸気が気体のままで存在できるのかというと,それは気温よって決まります.
気温が高いほどたくさんの水蒸気を保て,低いほどその量は減ります(単純な比例式では表現できませんが).
つまり,気温が低いほど,空気は飽和しやすいということです
(言い換えれば、気温が高いほど、空気中に水蒸気をたくさん保てる).

冬は、空気が乾燥しているのに洗濯物が乾きにくいのも、冬(低温)の空気が蒸発を受け入れないからです。
逆にドライヤーなどの熱風は、蒸発(乾燥)を促進するわけです。

そこで空気内の水蒸気がどのくらい飽和しやすい状態にあるかを示す指標が「相対湿度」です(一般には略して「湿度」と言われていますが、湿度には「絶対湿度」もあります).

相対湿度が100%(相対的な割合を示すから%)ということは,空気中の水蒸気量が飽和水蒸気密度に達して,それ以上水蒸気を保つことのできない限界値です.

でも相対湿度は気温によって変わります.
同じ空気でも温度が変われば相対湿度も変わります.
空気が冷やされると,相対湿度が上がります
(快適な相対湿度(一定の%台)を維持するために、冷房に除湿が必要で,暖房には加湿器が必要となる).
そして更に冷やされると,空気は飽和を越えて「過飽和」となり,凝結が起こります.

そういうわけで,冷たいグラスの外側の空気が冷やされると,グラス面が過飽和になって水滴がつくのです(決して容器内の液体が容器を通過して外にしみ出たわけではありません).

では逆に暖かい風呂から湯気が上がるのはどうしてでしょう.

これも同じ原理.
高温でしかも湿度の高い蒸発空気が,水面のすぐ上で冷やされると,
もうそこで過飽和となって湯気という水滴になるのです(湯気≒雲).
風呂場が水滴で満ちるのは、お湯と空気との温度差があるためです。


雲ができるメカニズム

そしていよいよ雲です.
雲は水面からずっと離れた空中にあります.
それは大気が上昇するにつれて冷えていき,
その場所でやっと過飽和になって凝結した証拠です。
すなわち、上昇流の果てが雲なのです。

乾燥した空気が上昇すれば1℃/100mの乾燥断熱減率で,気温が下がり,それに対応して相対湿度が上がります.
そして過飽和になって凝結する温度=高さのところで雲ができるのです.

雲底が平らになってことが多いですよね。
それはその高さで上昇した空気が凝結する温度であることが可視化されているのです。

雲のある所=上昇気流の所 というわけです.

山の斜面(地上の風が強制的に上昇流となる)に雲ができやすいのはこのためです.

雲のある所とない所とがまだら状に交互になっているのは,空気が過飽和になる高さ付近で上下に波打って,その峰になっている部分が雲なのだと解釈してください.
※:空気が波打つ理由はいくつかあります。例えば高い山があると山越えの気流が乱れて(乱流化)、風下側で波打ちます

逆に言えば、雲の無いところは,上昇気流の逆の下降気流の所(積雲の周辺)でもありますが,そのほかに乾燥(相対湿度が低い)している場合も該当します.

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