勤務先の大学の入学式に出席した。
先月の卒業式と同じく、壇上の最前列に坐って、お辞儀要員としての仕事を果たすため。
緞帳が上って、壇上から客席を一望すると、前月の卒業式のようなカラフルさがまったくなく、
ほぼ入学生の全員が黒のスーツ姿(例外を発見できず)。
髪も黒くしかも量も多いので、襟から覗くブラウスの白と顔の肌色以外は客席はほぼ黒色で占められていた。
なので卒業式よりも、学園葬の風景に近い印象。
以前の入学式では、スーツにしても明るいグレーなど、カラフルではなくても明度はもう少し幅があったと思う。
ただ、壇上のこちらも黒の礼服集団の一員だから文句をいう資格はない。
まぁ大学入学の時点で、就活にも礼服にも使える服を揃えておくのは悪くはない。
あまり壇上でキョロキョロできないので、客席の観察はこの程度にしておく。
次いで、式が始まり、お辞儀要員としての作業をこなしながら、
在学生代表や入学生代表の壇上での振舞いをチェックする。
いずれも、お辞儀は両手を体側面に当てての学校式(小笠原流とは微妙に異なる)で(もちろん学長・理事長も)、
誰かが”ビジネスマナー”として拡げた拱手(肘を不自然に張って両手を前で重ねる)でなかったので安心した。
ここまでは卒業式とほぼ同じだが、
入学式の時だけ、式典が終わって学長・理事長と来賓が退席した後、
壇上の我々だけが残されて、大学の役職者として紹介を受けるのだ。
今までは我々役職者集団は一緒に坐ったままで浅いお辞儀(会釈)をしたが、
今度は一人づつ紹介され、立って客席に向ってやや深いお辞儀(敬礼)をする。
お辞儀要員の一番の見せ場だ。
こういう儀式の場合、最初の人の振舞いが模範として続く者たちに踏襲される。
以前、最初の教員がお辞儀した後、退席して消えてしまったので(本来は着席するだけ)、
続く教員たちも次々そうせざるをえなかったという(最後の教員はたった一人残された)。
今回の最初の教員は、幸い、退席することも、尻餅をつくもともなく、
つつがなく振る舞ってくれたので、2番目の私もつつがなく振る舞えた。
実は、今回の入学式だけ、例年の国際会議場が借りられなかったため、
会場が名古屋市公会堂になった。
そこは狭いため、入学式が午前と午後の2回に分けられた。
なので、客席の風景から私のお辞儀までの流れは、そっくり2回繰り返された。
ちなみに名古屋市公会堂は、東京の上野公園に相当する鶴舞(つるま)公園内にあるため、
今日は(平日にもかかわらず)満開の桜の花見客でぎっしり(露店もずらり)。
しかも、春の甲子園での決勝で、地元愛知の東邦高校が平成の最初に続いて最後も優勝した。
この地で入学式を終えた今年の新入生は、最高のお祭り気分になれたろう。