博客 金烏工房

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絵本楊家将 第13章 怒殺謝金吾(後編)

2012年02月25日 | 絵本楊家将
第13章 怒殺謝金吾(後編)

六郎は怒って足を踏みならします。九妹は二人が言い争いをしているのを見て言いました。「兄上、連れて行ってあげましょうよ!都に着いてから問題をおこさないと約束すればいいのでしょう。」焦賛は二つ返事で、絶対に問題をおこさないと誓いました。

六郎は仕方なしに、九妹とともに焦賛を引き連れて楊府に戻りました。佘太君は六郎を見ると、思わず涙が流れてしまいます。六郎は母親を慰め、それから密かに八賢王に会うために南清宮に向かうことにしました。出発の前に、六郎はわざわざ二人の部下に焦賛を見張らせ、外出させないようにしました。しばらくして、焦賛は心が落ち着かなくなり、見張り番に街中に連れ出してくれるよう懇願しました。見張り番が言いますには、「万が一人に見つかったら、将軍にご迷惑がかかってしまいますよ。」焦賛は言いました。「お前たち安心しな、俺は決して人に見つかったりしないから。」仕方なく、二人の見張り番は焦賛を連れ出し、こっそり後門から天波府を抜け出させました。

焦賛は街で馬車の往来や酒場での賑わいを目にすると、目が二つしか無いのが残念だと思い、日が暮れるまで屋敷に戻ろうとしません。彼らが歩いていると、突然歌や楽器の音色が聞こえてきました。焦賛は尋ねました。「ここは誰の屋敷だ、どうしてこんなに賑やかなんだ?」見張り番は言いました。「何だっていいじゃないですか、早く行きましょう!ここの主人の謝金吾が陛下を唆して天波府を取り潰しにしようとしているのですよ。」

焦賛はこれを聞くと腹を立て、中に侵入して見てみないことには気が済みません。二人の見張り番は止めることができず、焦賛はひらりと壁を跳び越えて謝府へと侵入しました。

焦賛は謝府に入り、音楽が聞こえる方向へと進んでいくと、大広間の外に辿り着きました。部屋の中で歌や踊りが繰り広げられており、その傍らで謝金吾が酔い潰れているのが見えました。焦賛は短刀を抜いて、猛然と部屋の中へと突進します。謝金吾はぼんやりと真っ黒の顔をした男が目の前に立っているのを見て、思わず声を上げて叫びました。「誰か早く来てくれ、賊だ!」彼が叫びきらないうちに、焦賛は一刀のもとに彼の首を切り落としました。側にいた使用人や歌い手たちは驚いて逃げ惑います。焦賛は毒を食らわば皿までとばかりに、謝金吾の家の者をすべて殺し尽くしてしまいました。

焦賛は思いました。「大丈夫たる者、自分でしたことは自分で責任を取るべきだな。俺の名前を残しておけば、他人に累を及ぼすことは避けられよう。」そう考えると、彼は指に鮮血をつけて壁にこのように書き残しました。「天上に六丁六甲の守り神あらば、地上には禍々しき金神七煞あり。人を殺したのが誰か知りたいならば、焦七焦八を尋ねてまいれ。」書き終わると、彼は壁を跳び越えて、楊府へと戻って行きました。


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