博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

『台北故宮』その2(完)

2009年04月04日 | TVドキュメンタリー
今回は第7集から最終第12集まで。

第7集「巧奪天工」
ミクロサイズの工芸品・小物や文房四宝について。文天祥の硯の裏に賛辞を彫りまくる乾隆帝にドン引きです……

第8集「翰墨風雅 上」
六朝から唐の書、乾隆帝の三希堂所蔵書(王義之『快雪時晴帖』・王献之『中秋帖』・王『伯遠帖』)の流転について。また、元副院長荘厳が王羲之の曲水の宴に倣って北溝や台北故宮で開催した曲水流觴についても触れています。しかし書に「神」とか賛辞を書きまくる乾隆帝にドン引きです(^^;)

第9集「翰墨風雅 下」
蘇軾『寒亭帖』や『清明上河図』など宋の書画について。『清明上河図』は北京に真跡、台北に乾隆年間の模本があるということですが、そうすると昨年11月に北京故宮の延禧宮で展示されていた『清明上河図』は真跡だったのかしら…… また世界各地の展覧活動や北京との交流を進めた元院長秦孝儀についても触れています。

第10集「山水深処」
范寛『渓山行旅図』など宋代の山水画について。『渓山行旅図』は1958年に絵の中に范寛の署名が隠れていることが判明し、話題になったそうです。当時の山水画はそのように絵の中に作者の署名を紛れ込ませることが多かったようですが。また1961年にアメリカに文物を貸し出して展覧会をやることになった際に、猛烈な反対運動がおこり、文物梱包の様子をテレビで放映したり、帰国展を企画したりと火消しに躍起になったとのこと。。ラストに突然英米所蔵の元紫禁城所蔵の書画リストが表示されるのが意味深です……

第11集「伝世珍籍」
『四庫全書』について。北溝に文物保管所を設置した当初、多雨多湿の台湾の気候に慣れず、雨漏りによって『四庫全書薈要』の一部が水浸しになったとのこと。この件で当時の幹部が引責辞任などの処分を受け、破損箇所については手で書き直して修復したそうです。そんな修復法ならいっそしない方がマシだと思うのは私だけでしょうか…… 後半は『文淵閣四庫全書』影印版の発行について。発行当初、当時の院長蒋復璁らに一部ずつ寄贈したところ、彼らは更にそれを海外の図書館などに寄贈したとのこと。まあ、あんな大部の書を貰ったところでよっぽどのお屋敷じゃないと保管スペースが確保出来ないでしょうけど(^^;) また、現在観光客未開放ゾーンである北京故宮の文淵閣の外観と内部の映像も流れます。

第12集「承古開今」
台北故宮の現在について。故宮は既に台湾人の生活や人生の一部と主張してみたり、北京故宮など大陸との共同企画を紹介したり、北京故宮と台北故宮の関係を餃子の皮と餡の関係に例えるコメンテイターが登場したりと、別に文物をすべて北京に返して貰いたいわけじゃなく、故宮は北京と台北の2つで1セットということでいいじゃないかと言いたげな展開でした(^^;) このあたりは『四庫全書』を所蔵していた楼閣と現在の書籍の保管場所が別々になっているようなもの(例えば承徳・避暑山荘の文津閣に所蔵されていた『四庫全書』は、現在は北京図書館に保管されています)と捉えているのかなあと思うのですが。

3~4年前に制作されたドキュメンタリー『故宮』の方は紫禁城にまつわる史話を中心にまとめていましたが、こちらは徹底して文物そのものや台湾の風土についてまとめてますね。これは2つまとめて見ろということなのかなと思ってたら、『故宮』と『台北故宮』をワンセットにした『両岸故宮』というパッケージも発売されているようですね。

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2 コメント

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ははははは (ぐんまま)
2009-04-05 20:54:12
 もう、乾隆帝ってば‥‥。
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Unknown (さとうしん)
2009-04-05 23:20:57
>ぐんままさま
ホントにおちゃめと言うか、何と言うか。。。
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