博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

『春秋淹城』その1

2011年08月05日 | 中国歴史ドラマ
『逆水寒』をほっぽり出して『春秋淹城』を見始めました(^^;) 今回は日本語版DVDをレンタルしてきて見ているのですが、邦題が『三国争乱 春秋炎城』となかなか酷いネーミングなので、このブログでは原題の『春秋淹城』の方で通します。ということで今回は第1~6話まで鑑賞。

物語の舞台となる淹国は太湖のほとりにあり、呉・越・楚の南方三大国に囲まれた小国。要衝に位置するということで大国の脅威にさらされつつも、これまで城主の伯淹をはじめとして人々は慎ましやかな生活を送っておりました。そこへ鄭の子産の子孫と称する公孫宇が淹国に仕官にやって来ます。この公孫宇を演じるのが『神雕侠侶』の尹志平、『碧血剣』の李巌役などでお馴染みの程皓楓ですが、この人、ヒゲ面が似合いませんね(´・ω・`)

時に淹国の桑樹墩では、伯淹の一人娘羅敷(これまた武侠ドラマでお馴染みの舒暢が演じてます)が身分を隠して暮らしておりましたが、桑樹墩の桑の葉をめぐる紛争から、彼女が村の青年の賀子丹とともに呉国の軍隊に捕らえられるという事件が発生。公孫宇は5匹の鶏を手土産に呉軍と交渉して2人を解放させ、淹国で信望を得ることになりますが、実はこの公孫宇、越の范蠡の義子で、越国のために淹国を盛り立てて呉国と対抗させるという任務を授けられていたのでした。

その呉国で淹国討伐の動きが持ち上がり、太子波が大将として進軍して来ますが、公孫宇は淹国が折から大雨に見舞われているのに目を付け、洪水を利用して呉の進軍を阻む計略を提案。そのために敢えて桑樹墩の治水を行わず、村を犠牲にすることに。太子波が元々厭戦的だったのもあって和議には成功しますが、桑樹墩に羅敷と子丹が取り残されていることが明らかとなり、窮地に陥る公孫宇……

しかし羅敷と子丹は自力で鉄砲水から逃れ、見捨てられた形の桑樹墩の村人達も村の役人の阿毛の機転によって避難に成功。結果オーライということで公孫宇は大夫に取り立てられます。そして子丹は公孫宇もとで奉公することとなり……

ということで、大陸ではお馴染みの呉越物です。21世紀に入ってから一体このテーマで何本ドラマを撮ってるんやとツッコミたくなりますが、この作品では新機軸として、江蘇常州に実在する淹城遺址をストーリーに絡ませています。そう、物語の舞台となる淹国はこの淹城遺址から着想されたほとんど架空の国なんですね。本作には観光地ムービーとしての要素もあるわけです。

シナリオ面でも史書に見える話をうまく取り入れていて良い感じです。冒頭の羅敷と子丹が呉軍に捕らえられる話は、『史記』に見える呉楚の村の女が桑の葉をめぐって諍いをおこしたことから両国の戦争が始まったという話がアレンジされています。『逆水寒』と比べると段違いで安心のクオリティではないか!ということで、しばらくこっちを見続けることにします。
コメント (2)
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