博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

『春秋淹城』その5(完)

2011年08月24日 | 中国歴史ドラマ
『春秋淹城』第25~最終30話まで見ました。

結局范蠡との父子の情にほだされ、越に米を融通した公孫宇ですが、この越との取り引きとこれまでの赤字経営が引き金になって米屋は閉店。阿約の茶店も借金のカタに人手に渡ってしまいます。

そこへ追い討ちをかけるように淹国でイナゴが大発生し、しかも子丹の命令で農家の男手が労役に取られていたことにより、対処ができないまま大凶作へ。仕方がないので子丹が米を融通してもらおうと公孫宇のもとを訪れたところ、越との米の取り引きが発覚し、越と結託して淹を窮地に陥れたということで公孫宇を捕らえてしまいます。イヤ、そもそも子丹が融通を利かさずに労役をゴリ押ししたのがあかんかったのとちゃうの?完全にとばっちりじゃないですか!おかしいですよこんなの(´・ω・`)

伯淹もこんなのおかしいと思ったのか、公孫宇は死罪になるところを罪一等を減じられて労役刑に就くことに。で、亡母の副葬品であった淹国累代の宝物の青銅盤と引き替えに楚の昭王に食糧援助を求めることにします。伯淹は子丹を監国に指名し、自ら楚国へと赴きますが、昭王に散々嘲弄され、お供の碧蓉とともに非業の死を遂げることになってしまいます。

その頃淹国では食糧不足の不満を抑えるべく、子丹が募兵に応じた若者に食糧を多めに支給するという無茶な政策を実施して周囲からドン引きされたり、(このあたり、伯淹の人を見る目もどうなんだろうという気が……)羅敷が子丹の反対を押し切って公孫宇を釈放したり、子丹が越から嫁いできた伯淹の後妻芙蓉に迷魂散(媚薬)を飲まされかけたりしています。このドラマは歴史ドラマなので、寸手のところで迷魂散を飲まずに済むのですが、これが武侠ドラマだと迷魂散を飲まされるという展開になるというわけですね(^^;)

で、楚国が食糧援助に来たと見せかけて淹国に侵攻。伯淹らの死を知り、決死で抵抗する淹軍ですが、そこへ更に漁夫の利を狙うべく呉軍・越軍も到来。三カ国ともいちいち君主が親征しているのがツッコミ所ですが、ここで三カ国の軍隊が睨み合いを始めて楚と淹との戦いは一時休戦。羅敷はそこで楚の昭王・呉王夫差・越王句践を招いて和議を開くことにしますが……

【総括】

ということでこの作品、全30話と古装片としては比較的短くまとまった作品でしたが、途中でダレ場もなく、(かといって展開が早いわけでもなく、ちょうどいい塩梅で話が進んでいきます)駄目な意味でのツッコミ所もそれほど目に就かず、淹というほとんど架空の国を舞台としながらもそれが春秋期の呉・越・楚の対立という史実とうまく融合しておりと、かなり良質の歴史ドラマに仕上がっております。それほど期待もせずに見始めたので、思わぬ拾い物といった感じです。

しかし聞くところによると、何が悪かったのかこのドラマは大陸ではテレビ・ネットでの放映やDVD販売がされず、お蔵入りになってしまっているとのこと。もともと中国国内の観光客を江蘇省の淹城遺址に誘致するためのドラマだったのでしょうし、これは制作スタッフやスポンサー的にかなり涙目な事態ではなかろうかと思います(^^;)
コメント
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