軽く読めて手が疲れないようにと文庫も持って入院した。ややともすると不安で堪らなく寂しくどん底へ陥らんとする気持をリンボウ先生のゆったりした人間を取り戻す優雅な(決して豪華ではない)生活がイギリスや山梨で繰り広げられ、どんなに慰められた事か。先生はお料理も大好きで簡単にさっさと食事の支度をする。納豆に大根おろしそれに小女子を入れ酢醤油で食べる。鬼に金棒のレセピ(と先生は言う)だと思う。人生を幸福ならしめるものとしてイギリスのグレイ卿の言った四つの要素、1行動のモラル、2良き家庭と友、3有意義な仕事、4ある程度の閑暇とその使い方…を挙げている。健康はこの四つが存在すれば必然的に付いてくると言うのでしょうか。何しろイギリスでの生活で得たものが彼の底辺にはあるから、生活の流れの緩やかさはよく解る。2良き家庭と友…は今回しみじみと身に沁みた事です。