先日”世界記憶遺産”に登録された山本作兵衛の画文集「炭鉱に生きる」(講談社)を見た。1967年、昭和42年に発刊されている。明治、大正、昭和の初期迄の炭鉱労働者の姿を細密に描いた絵が世界記憶遺産に指定された事に世間は驚いたばかりです。山本作兵衛は60歳半ば、昭和33年頃から炭鉱での生活を孫の代まで残し伝えたいという思いから、ひたすら正確に描き始めたそうです。絵に見るように狭い坑道を女性は上半身裸で石炭の籠を運んでいる、その過酷さに驚きます。時として子供も動員されたそうです。坑内での労働だけでなく、彼等の庶民的生活感情も描かれていて炭鉱の衰退している今、まさしくこれは”記憶遺産”でしょう。