外側はロマネスク様式、内部はゴシック調と言われています。こうもり天井と言われるリブ・ヴォールトが美しい。華美な装飾がないだけにこの天井が映えます。日本の教会建築、底に流れる確固たるものが伝わって来ます。
遠藤周作の「沈黙」の舞台になった黒崎教会です。キリスト教が外海に布教されたのは1571年、この辺り一帯はかくれ切支丹が最も多く住む里でした。この黒崎教会が建設されたのは1920年、信徒一人一人が奉仕と犠牲のもとに積み上げたと言うロマネスク様式のレンガ造りです。フランスの田舎にあるような瀟洒な教会、これもド・ロ神父の指導により建設が計画されたのです。
祭壇はとても質素ですが、何か温かみのある堂内です。近辺の気象状況を鑑みて設計された教会ですが、低い平天井なるが故に人々が入り口に立った時奥行きの深い会堂の視線を祭壇に集中する事が出来ると言うのです。今までどこの教会を訪ねてもまず入り口で天井を仰ぎ見ていたものですが…。
ド・ロ神父は建築の分野でも、鉄川与助と言う大工棟梁に聖堂建築の手ほどきをし、数々の教会を建てて行きました。この出津(しづ)教会は明治15年に建てられド・ロ神父の設計施工による外海町最初の教会だと言う事です。白と黒の瓦葺屋根が美しくかつ力強く感じます。この辺りは風が強いため平天井にし、とてもシンプルにしたらしいのです。