ツトムさん家の写真日記。

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第345回 埼玉県鶴ヶ島市 脚折雨乞行事 上  白鬚神社・善能寺。

2008-08-07 12:46:17 | 旅行

2008 08 03(日)

オリンピックと同じ年に四年度行われる珍しい祭り行事があると聞いたので埼玉県の鶴ヶ島市へ・・・。

目指す祭りの名前は脚折雨乞行事(すねおりあまごいぎょうじ。国選無形民俗文化財)

関越高速道鶴ヶ島インターを下りると、お祭りの駐車場の案内が目白押しです。
有料P場の呼込みには構わず、無料P場のある鶴ヶ島市役所へ・・・。

天候は朝から快晴で猛烈な暑さ!! 冷房が良く効いた市役所一階が開放されて“奇祭・脚折雨乞行事”の展示ブースになっていました。

展示品など見物しながら市役所の冷房で体を冷やし息を整えてLet's goです。
市役所そばのコンビニでオニギリやドリンクなど買い入れ奇祭の出発地となる白鬚神社
(しらひげじんじゃ)へ・・・。

街道筋から横にそれるとそこは一面の茶畑・・・鶴ヶ島で採れた茶も狭山茶になるのでしょうか?
市役所から400mほど歩いて白鬚神社に到着。
神社横の茶畑の中に遠くからでも巨大に見える芋虫らしき物体が横たわっています。

周りでは祭り関係者や見物人が取り巻いて珍しそうに眺めていました。

近寄って見るとその巨大さに驚かされます。

これは脚折雨乞行事の主役となる龍蛇”(りゅうだ)と云われるそうです。
大きくて迫力が有りますが何となく憎めない愛嬌のある顔をしていますね。

この龍蛇の製作にあたっては、昨年の11月から育てた麦ワラで36mの龍蛇全身を形作るのです。龍のウロコに見立てて笹の葉がびっしりと胴に差し込んでありました。

午後時からの白鬚神社雨乞行事の式典が始まるまでは境内を散策。
 
樹木に覆われた白鬚神社の社殿は中規模の大きさですが、本殿裏のケヤキには驚かされました。
樹齢900有余年といわれる欅は圧倒する存在感があります。
以前には36mあった樹高が長年の風雨で上部が欠け、現在の樹高は17m、幹回りが7m。昭和年に天然記念物指定。

脚折雨乞行事の出発式が白鬚神社拝殿前で始まります。
祭り関係者一同が勢揃いして雨乞行事保存会高澤会長や鶴ヶ島市長の挨拶の後、白鬚神社に拝礼します。
 
脚折雨乞行事の準主役みたいな竹筒に入った御霊水も社殿から運ばれて・・・。
(お忙しい中、無理を言って撮らせて頂きました。感謝です。)

この御霊水は全国の雷電神社(らいでんじんじゃ)の総本社として群馬県板倉町に鎮座する雷電神社から運ばれた聖水とのことです。

昨年の秋10月、このツトムBLOGで日本一のコスモス畑と紹介した板倉町です。
コスモス見物の後、近くにあった雷電神社を参拝した時の画像を載せます。
さすが全国の雷電神社の総本社ですね、農村地帯の中に忽然と豪奢な佇まいを見せていました。 
今回は掲載しませんが、左甚五郎等が彫った社殿を飾る豪華な彫刻は必見の感があります。
 
雷電神社の裏にある伊奈良沼(いならぬま 別名は雷電沼・雨を降らす龍が棲むと伝えられている。)から脚折雨乞行事に使用される御霊水が取水(戴水の儀)され白鬚神社へ運ばれるのです。

白鬚神社の宮司が龍蛇(りゅうだ)の前で祝詞を捧げ祈願し、龍蛇の大きな口へ板倉町の雷電神社からの霊水を注ぎます。
  
龍頭に御幣を挿し終えてから、この一連の御祓い儀式により、龍蛇は龍神へと昇格する事になります。

脚折雨乞行事の龍神渡御に先立ち、樽酒の鏡開きをして振舞い酒を呑んで気合を入れていました。
 
巨大な龍神の前では地元女性が演じる“龍神太鼓”がご披露され祭りの雰囲気を盛り上げています。

太鼓・ほら貝を打ち鳴らし、八百万(やおよろず)の神様の名を書いた竹笹幟りを先頭にして龍神様の渡御巡行が始まりました。
 
本当に大きな龍神さまですね。麦藁(むぎわら)を約570束、竹を約80本使い150名が一週間作業して作り上げた重さ3トン長さ36m胴回り6m巨大龍神
茅葺き屋根を作るときの技術を使って製作しているそうです。

白鬚神社から龍神が池入りする雷電池(「かみなりでんち・らいでんいけ」ではなく、「かんだちがいけ」と言います。)まで重い龍体を担いで2Kmを渡御巡行するのです。
それも当日の最高気温37℃の猛炎天下の中!! 熱射病で倒れる人も出ました。
 
300名の担ぎ手に担がれた大きくて長い龍神様が狭い道角を曲がる時には難儀なこと・・・。

36mの龍胴の最後尾には大きな(つるぎ)が付いて行きます。
剣の名前は“尻剣”(しりけん)と単純でしたが、尻剣に触れた人は賢くなると謂われています。野次馬根性旺盛な筆者も触ってみましたから頭が良くなったかも・・・(笑)。
 
白鬚神社から雷電池までの途中で、善能寺に龍神様はお立ち寄りになりました。

頭の高さ4.5mの大きな口の前で住職が経文を唱えていましたが、龍神にまるで飲み込まれるような光景でした。
 
白髭神社から善能寺へ、祝詞からお経へと、まさに神仏混交を地で行っている様な感じですね。

昔の村誌に「日照りのとき、脚折の雷電池(かんだちがいけ)ほとりにある脚折雷電社(すねおりらいでんしゃ)に雨乞いを祈願すると必ず雨が降った。特に安永・天明の頃、善能寺住職・隆英法印の時代には、その効験はあらたかで、次の文化・文政の頃にもなを神効があった」と記されています。

「寛永時代に雷電池の一部を干拓してにしてしまった為、棲んでいた雨降らしの大蛇が逃げ出して、上州(群馬県)板倉にある雷電神社の池(伊奈良沼)へ移ってしまい、祈願しても雨が降らなくなってしまった。」
「明治年夏の干ばつの時、村人が脚折雷電社で雨乞い祈願をしたが、効果がなかった。そこで板倉の雷電神社の神官に一晩中雨乞い祈願をしてもらい、翌日に伊奈良沼(雷電池)の水を竹筒に入れて持ち帰った。脚折の雷電社で白鬚神社の神官が降雨祈願中だったが、板倉のが到着した途端に空が黒雲に覆われ稲光がして雨が降り出した。」と伝えられています。

なるほど、竜神様と善能寺と板倉雷電神社の因果関係がわかりました。
「欲をかいては罰が当たる。」という比喩でしょうか!?

和尚様が念じて拝む先には、真っ赤な巨大な口の中に貼られた「上州板倉・雷電神社」の御札が見えました。
 
蛇足(この場合は龍足かな?)ですが、龍胴の下はこんな様子になっています。

安養山善能寺で小休止し、梅干と冷たい麦茶など飲ませて頂いてから雷電池(かんだちがいけ)に向かって渡御の再開です。

巨大な龍神さまが鶴ヶ島市を練り歩く動画をご覧下さい。

鶴ヶ島市 脚折雨乞行事 1 町内巡行。


鶴ヶ島市 脚折雨乞行事 2 町内巡行


次回は脚折雨乞行事のクライマックス“雷電池入水と昇天”編です。

2008 08 07(木)記。    前橋市は朝から快  最高気温36℃ 猛暑日。