昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

言葉(15)開高健、恋する女との再会

2013-09-10 03:53:42 | 言葉
 恋する女と再会する場面に胸をときめかされる名文はいろいろあるが、「戦後、日本語のあらたな表現方法を会得した」と司馬遼太郎氏が絶賛した開高健氏の<夏の闇>の一節を紹介する。

 きた。時刻である。私はグロッグの受け皿に小銭をおき、自動販売機で入場券を買い、プラットフォームへでていく。遠い北の港町で構成されて二つの国を通過してきた、頑強な緑いろの古鉄の箱が線路のぬかるみを注意深く選んで円天井の影のしたに入ってくる。
 
(色的にも、雰囲気的にもちょっと違うかな?)

 無数の蒼白くむくんだ顔やおぼろな眼が寝台車の窓を埋めてこちらを見おろしている。一輌々々点検していくと、円天井から雨のなかにでてしまった。暗い空から雨はびしゃびしゃ容赦なく落ちかかってきた。プラットフォームもずっとはずれのほうで真紅のレインコートを着た女がスーツケースをひきずりおろそうとしているのを発見した。それをめがけて小走りにかけだしたはずみに雨が音をたててしぶきはじめ、陸橋も、車輛も、線路も、すべてが水のなかに消えた。
「・・・・・」
「・・・・・・!」
 女がふりかえって何か声をあげた。蒼白くて高い頬に髪が濡れてこびりついているが、眼がいきいきと輝き、くちびるがひらいていた。女が背を起すと微笑が顔いっぱいにひろがった。
 

 オリンピック2020東京に決定! で歓迎一色に沸いた一日。
 特に安倍首相の断言的なプレゼンも決定づけるものだったと大評価された。
 しかし、「実態を正しく伝えていない」と疑問視する報道がじわじわと出て来た。
 

 いいんです! 政治は結果が全てです。
 発言に即して結果を求める努力に邁進するのみです。