昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

エッセイ(178)大人の社会科見学

2013-09-18 04:40:25 | エッセイ
 家内から「大人の社会科見学」というバスツアーに誘われた。
 農林水産省の食堂でランチを食べ、国会議事堂、東京証券取引所、法務省旧本館を見学、プラス新歌舞伎座とある。
 国会議事堂は地元の衆議院議員の紹介で見学したことがあるし、他も特に観たいと思わない。
 しかし、このところ海外はおろか国内旅行もしていない。
 ボランティアや孫の世話でイライラしている家内の心情を思えば、受けざるを得ない。

 集合場所は新宿の都庁の手前のバス駐車場だ。駅からけっこう距離がある。途中動く歩道があるが、周りは通勤の連中だ。動く歩道の上を歩く、歩く。家内も歩く。
 遅れまいとして、ツアーが始まる前にひと汗をかいちゃった。
 
 国会議事堂の見学。見学者は裏門から入る。
「階段が多いのね・・・」「古いからしかたないのよ・・・」「赤じゅうたんも薄汚れているわね・・・」
 階段と長い廊下を歩かされて、印象がよくない。
 
 最後表門からの、台風一過青空の下威風堂々とした全貌を見ることができたが・・・。
 見学は絶対表門から入るべきだ!

 中庭に各県を代表する植樹がしてあるのはなかなかのアイデアだ。
 
「おっ!京都は北山杉か。格好いいね」
 我が故郷、石川県は?と探す。
 
「なんじゃこりゃ! アテ? こんな木しらんな。地味だし」

 家内は売店のお土産に注目!
 <いざ、新しい国おこし>というおこしと、<アベノミックス>という飴を買った。
 商魂たくましい!

 農林水産省。ここの職員食堂でランチを食べる。
「まだ、11時10分じゃない。お腹減っていないわよ・・・」
 職員が利用するする前に12時10分前に済ませてくださいだと! 
 バイキング方式でセレクトするようになっている。
 国産食材使用! 新米入荷! ちょっと期待しちゃう。
「クジラの竜田揚げが評判なんですって・・・」
 えっ? 南氷洋の調査捕鯨で獲ってきたやつか?
 原発事故以来、沈殿した核汚染物質を喰らっているのでは?と評判のよくないカレイの煮付けや空揚げが美味そう。
 何だかんだとセレクトしたら、支給された800円の食券分を500円もオーバーしてしまった。

「これ新米?」たしかに新米らしくない味でがっかり。

 お腹がふくれたところで近所の法務省旧本館に移動。
 
 趣のあるレンガ造りだ。
 明治時代、ドイツ人の設計によるもので、レンガ造りながら耐震補強が施されていて関東大震災にもびくともしなかったそうだ。
 しかし、戦災のためレンガ壁を残し屋根や床が焼失、平成6年に復元されて重要文化財に指定されたという。
 ちょっと勉強した気分になる。

 新歌舞伎座見学は本体ではなく、近くに建てられた歌舞伎座タワー見学だ。歌舞伎座ギャラリーで新歌舞伎座の魅力を映像で見せられたが・・・。
 本舞台の4階天井桟敷で一幕でも見せてくれたらいいのに、がっかり!

 最後は東京証券取引所アローズの見学。
 
 一時の株取引にのめり込んでいた頃ならともかく、一切手を引いている今のボクには新しい取引システムにも関心がない。
 ただ、今日の取引が終えて、タイセイという福岡の会社が東証マザーズに上場する式典で、承認の鐘が鳴らされた瞬間に遭遇したことが印象的だったが・・・。
 
「疲れた、疲れた・・・」という家内に何に目を付けてこのツアーを選んだのか聞いたら、「お父さんのためにじゃない! 東京証券取引所なんか見たかったでしょう?」と言われた。
 どうも二人の意識は食い違っていたようだ。

 しかし、このツアーで心に残るものはあった。
 
 国会議事堂見学に来ていた小学6年生の生き生きとした表情!
 国会議事堂、東京証券取引所の若い女性解説者!
 いずれも自分の仕事に誇りを持って堂々と説明していた。
 服装もそれなりにシャキッとしていて格好良かった。
 そして、ツアーの添乗員の女性。
 ほとんど年寄りの参加者を、ニコニコと愛らしく軽快にさばいていく。
 特に走る姿が格好よかった。
 小柄だが、アスリートのように足を高く上げて颯爽と走り回っていた。
 それなりに満足したジジイの社会科見学ツアーでした。