昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

運が悪いことから全てが始まった(40)大学時代(23)

2013-11-13 05:09:55 | 小説、運が悪いことから全てが始まった
 証券会社を訪問し、面接してくれた会社の幹部の冷たい視線はボクを一気に奈落の底へ突き落した。
 統計局のように地味な職場がふさわしいのではと思ったが、公務員の国家試験を受けるための準備をしてこなかったし、その実力もなかったのでその外郭団体を訪問してみた。
 
 しかし、中学で抜群の成績を誇ったなどという実績は何の役にも立たなかった。

 改めて自分が社会で働く姿を想像してみたが、どんな形であれ明るい像を結ばなかった。
 暗い夜道で迷子になった夢を思い出した。
 
 有名大学へ入れれば自動的にいい会社へ入れるなどと無意識に思っていたが、現実に直面して自力で自ら行くべき道を見つけられない。

「どう? 就職先見つかった?」
 隣に部屋のM大学の男が顔をのぞかせた。
 洒落た茶色のニットのセーターを着ている。
 筋目の入ったズボンを折り曲げあぐらを組んだ。
「キミはどうなんだ?」
 逆に訊いてやった。
「いや、ウチは家業で家具屋をやってるから・・・。オヤジが職人から立ち上げて今では広島ではかなりでかい会社になっているんだ。オレが販売を担うということで商学部に入れさせられたんだ。ろくに勉強なんかしなかったけどね・・・」
 
 彼は愛嬌のある丸い目を薄めて、脳天気な顔で笑った。
「家業を継ぐってわけだ・・・」
「まあね。ところでキミの方はどうなんだ。F教授のゼミへ入ったっていうから大学に残るのか?」
 彼はボクの曲がらない真っ直ぐ突き出して座っている足を見て言った。
 たしかに中労委の会長として有名なF教授のゼミに入ったけれど、学問に打ち込むような学生生活は送っていない。

 彼が部屋を出ていくと急に孤独感が襲ってきて、金沢の家族のことが思い浮かんだ。
 
 オヤジとオフクロ、それに二人の妹。
 上の節子は高校を卒業すると地元の会社に勤めたが、早々に見合いの話があって、C金融公庫に勤める男と結婚した。
 下の時子は洋裁学校へ行っている。
 ボクだけが大学に入った、しかも金のかかる私大に。
 ・・・お兄さんばっかり・・・
 ボクは家族の期待の星だったのだ。

「お父さんから電話ですよ・・・」
 大家さんの奥さんがドアを叩いた。

 ─続く─ 

 「原発即ゼロ」小泉元首相、今日の朝日新聞の一面トップ記事だ。
 
 「郵政改革」で「自民党をぶっ壊す」は政治家・小泉のパフォーマンスだったが、
  今回は、政治を離れた立場で言える彼のパフォーマンスだ。 
 「代案があるか?」に
 「必ず知恵のある人がいい案を出してくれる!」
 「かな? <他人事>になってるけど・・・」

  <小泉劇場>の始まり、始まり!
  また、またマスコミは翻弄されちゃうのかな?




 
 


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