熊さん:中国の軍艦が尖閣諸島の領海に6隻も侵入したらしいですぜ。
ご隠居:軍艦とは穏やかじゃないね。ま、似たようなものか・・・。
熊さん:日本の巡視船が警告を発したら、「古来から中国の領土だ。
お前の方こそ出て行け!」って返してきたらしいぜ。
いよいよおっぱじめようってんじゃねえの?
ご隠居:まさかそこまでは考えていないだろうが、対応次第ではそうなり
かねない挑発的な行為だね。
熊さん:次は護衛艦を従えて大量の漁船を寄こすって脅しをかけてきて
いるぜ。島に上陸ってことにでもなったらどうするんだい。
ご隠居:事を穏便にという政府の立場としては、日本が実力行使をする
となると軍事衝突になりかねないから、それは避けたいだろう
しな・・・。今回は敵も上陸までは考えていないだろう。
熊さん:そんなのんきなことを言っていていいんですかい? 結局はフィ
リピンの南沙諸島みたいに獲られちゃうんじゃないの? だいた
い今まで民間に任せていたのに、今回なぜ中国政府自体が乗り
出してきたんだね?
ご隠居:尖閣の所有権が民間から国に移ったからだろう。
熊さん:そんなことこっちの勝手だろうが。いずれそうしなきゃ漁民の安
全を保つための設備も作れないだろうし、尖閣周辺の海洋開発だ
って手をつけられないだろうし・・・。
ご隠居:たしかにそうなんだが、中国サイドからすると、尖閣の帰属につ
いては当分棚上げにするという両国間の密約に反したって言うん
だろうな。
熊さん:だいたいそんな中途半端な事なかれ主義の解決法でお茶を濁し
てきた日本の姿勢が、現実的にあり得ないんじゃないの?
自国のものだと主張するなら、韓国の竹島にたいする対応みた
いに断固とした実効支配するってのが、国際間での現実じゃな
いの?
ご隠居;そうなんだよな。韓国ばかりじゃなく、ロシアだっていったん
獲ったものは返さないって言ってるし・・・。
熊さん:一時問題化した日本の領海から石油を吸い取っているという
<東シナ海ガス田問題>はどうなっちゃったんだい?
泣き寝入りかい?今度の尖閣に日本政府はどう対応するんだね?
ご隠居:ここは日本の正念場だな。今までのようにことなかれ主義では
すまないよって、相手から突きつけてきたんだもんな。
熊さん:じゃあ、どうするんだい?
ご隠居:ここは、日本も<力の論理>に従って、命がけで<力>でもっ
て対応せざるを得ないだろうな。いずれは<調和の世界平和>
を目指すとしても・・・。
熊さん:<調和の世界平和>? そんなもの期待できるんですかい?
ご隠居:近代世界史の流れは<西洋文明>の考え方に支配されているんだ。
熊さん:<西洋文明>?
ご隠居:つまり人類が他の動物と違うところは<夢>を持つことが出来る
ということなんだ。
その<夢>の実現のために人間は叡知を極めて努力する。
いうなれば、<叡知万能主義>、いいかえれば
<文明の進化路線>なんだよ。
熊さん:<文明の進化路線>?
ご隠居:限りなく文明の進歩、つまり快適な生活環境を求め続けるという
姿勢なんだ。
その優秀な人類の叡知は自然をも支配できるという考え方に結び
ついた。核エネルギーの開発なんてのはその最たるものだ。
熊さん:しかし、その核エネルギーを利用した核爆弾や原発が問題になっ
ている?
ご隠居:そこなんだよ。人間は叡知を切磋琢磨して、というと聞こえがい
いが、それがどういう方向に向いているかが今、問われているん
だ。
領土問題とか、宗教問題とか、<力>が人類間の争いに向いてい
るのが問題なんだ。
<我欲>という人類の悪癖に引きずられて人類の滅亡に至らねば
と願うのみだよ。
熊さん:ずいぶん大きな問題になっちゃったね。
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