ステージおきたま

無農薬百姓33年
舞台作り続けて22年
がむしゃら走り6年
コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

校内公演満員御礼

2013-02-05 22:39:34 | 教育
 校内公演、なんと満員御礼だった。数年前からは信じられない。以前は、演劇部3年生と先生方とその他数名なんてお寒い状況だったからね。しかも大いに笑ってくれた。熱心に見てくれた。

 部員たち救われたと思う。今回も作品は二本、『ごはんの時間2』と『桜井家の掟』だ。どちらも校内公演で取り上げたことのある高校演劇の定番的作品だ。『ごはんの時間2』のチームは比較的順調で、台詞の入るのも早く入念に仕上げることができたのに対して、『桜井家の掟』チームはインフルエンザ攻撃をまともにくらってしまった。どうにかキャスト全員がそろうようになったのは1月の半ば過ぎ。さらにチーム内のごだごたなんかもあって大きく出遅れてしまった。台詞も入らず、道具も揃わず、衣装も最後の最後までもめた。しかも、僕の見るところキャスティングも上手くなかったように思う。だから、もう最後は勢いで一気に乗り切れ!って激励した。

 ところが、いざ開場となると、どかどかと観客が集まりだして、用意した椅子は足りない、プログラムも急遽開演5分前に増す刷りするという有様となった。中には練習を休みにして来てくれた運動部の生徒たちもいる。もちろん、吹奏楽部は全員参加してくれている。3年生で自由登校なのに見に来てくれた生徒もいる。こうなると舞台もいやが上にも盛り上がる。さらにさらに、芝居が始まるや否や、爆笑、爆笑、大爆笑の連続。ええーっ?そんなに面白いか?ってこっちがつっこみ入れたくなるほどの馬鹿受け状態となった。まさしく幸せな舞台と観客の一体感が生まれていた。

 正直に言って上手くはない。配役も台本を生かす設定にはなっていない。それでもこの大受けはなんだったのか?理由の一つは観客の暖かさだったろう。斜めに構えて揚げ足を取るなんて皮肉な観客はまったくいない。みんなが待っていてくれた。そして、笑いたくて来ていた。置農の生徒、変わったなぁ!これが一番の感想だった。先日のサントリー地域文化賞受賞記念の子どもミュージカルの公演もそうだった。子ども向けの舞台であっても、以前のしらーっとした感じはまったくなくて、素直に楽しみおおらかに笑いゆったりと受け入れてくれていた。ああ、置農生、一歩大人になったなぁ!これが最初の印象だった。

 それにしてもこの大爆笑はなんだ?役者が上手いかどうかなんてどうでもいいこの笑い。よくよく考えてみて、なるほどな、この台本と観客の生徒たちの笑いのツボがぴったり合わさったってことなんだ。妄想ゲームに明け暮れる永久処女の長女と三女
とか、暴走族上がりの姉に年下でか弱い優等生の恋人とか、暴走族も軽く手玉に取る奥さんとか、まず設定がかなりのナンセンスだ。言葉のギャグもかなり大袈裟なものだ。例えば、この暴走族上がり少女は、「お返事」を「あ返事」と書き、「わたしは」を「わたしね」と書く。つまり、わの文字が書けないってこと。まっ、今時の日本では到底あり得ないナンセンスさだ。この台本の突拍子のなさが、今回の観客にぴったりフィットしたってことだ。

 逆に『ごはんの時間2』の方はギャグが不発の部分が目立った。上手く行っていたのは、男2人、中でも専業主夫を目指す吉田君の極端な男女ぶりだった。そりゃ受けるだろう。でも、その笑い、信じていいのかな?笑いにも様々ある。バナナの皮を踏んでひっくりかえる人間を笑うのも笑い。心の機微のちょっとしたずれに微笑むのも笑い。

 終演後、生徒たちにはこう話した。とても温かい観客に恵まれて本当に良かった。やったぜ!感はきっと一生の宝になるだろう。でも、笑いが多かったから勝ちってことではまったくない。芝居はコントや漫才とは違う。伝えるべきものが、観客にしっかり届いた時、その舞台は成功したと言える。笑いは当然欲しい。でも、それが最終目的になっては行けない。さらに、笑いには質の違いがあるってことも忘れてはならない。

 とは言っても、満員御礼!大爆笑!!は何と言ってもありがたいし、嬉しいことだね。



 

コメント (5)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『アーダコーダと魔女ナンダ』最終公演

2013-02-02 22:33:25 | 地域文化
 置農食育子どもミュージカル『アーダコーダと魔女ナンダ』の最終公演だった。サントリー地域文化賞受賞を記念しての特別公演。全校生徒と多数のお客様に見ていただけだ。これまで20回近く公演してきたこの作品、さすがに生徒たちは手慣れたもの、昨夜の2回の通してでほぼ完璧の出来を披露してくれた。

 最後ということもあって、全員が大張り切り!今まで見せたことのないような大きな演技をこれでもか?とばかりに競い合っていた。高校生の受けどころは、小学生と大いに違い、今まで当たらなかった役者たちや受けないシーンが大いに盛り上がって、部員たちには嬉しい公演になったんじゃなかろうか。最初からこんな風にそれぞれが工夫した演技を競い合ってくれたら、もっともっと凄いものになったに違いないんだけど、それはやはり無いものねだり、ここまでやって来たから思い切った吹っ切れも可能だったということだろう。改めて場数を踏むことの大切さを実感した。

 今回はステージを勤めた後、活動発表会の裏方も担当した。2年生が中心になってどうかな?と心配したが、それぞれが得意分野を分担して見事なスタッフワークを発揮してくれた。少しずつリーダー学年としての自覚が生まれつつあるということだろう。頼もしい。ただ、このチームは緊張が長続きしない。これから一年、その難点を克服していく月日が始まる。

 報告会そして、その後の祝賀会にはたくさんの方々に来ていただけた。改めて、地域の皆さんに支えられてここまで来られたことを痛感した。私としては置農は今年度が最後、素晴らしい思い出を作って頂けたし、次につながるご縁を上手に後継者にバトンタッチできたように思う。

 これから特急で食育ミュージカルの新作を仕上げて、3月末に公演を行い学校を離れる。部員たちはその作品を大切に一年間上演し続けることになる。最後の仕事が、確実に一年間、部員たちを充実した日々を保証する、ふふふ、なんか格好よくないか?できれば、公演の日が、仕事納めになればいいと思う。公演を見届けた後、ミィーティングで部員たちとさよならだ。よしっ、これを上手に演出して辞めることにしよう。


 

 Photo




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする