ステージおきたま

無農薬百姓33年
舞台作り続けて22年
がむしゃら走り6年
コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

"下手"だって個性!

2010-07-03 00:53:49 | 教育

 高畠小学校から『ベジタブル!ワンダフル!!』を見た感想と素敵な壁新聞が届いた。壁新聞は大きめの大判用紙に公演の時の写真や見てくれた子どもたちの感想が貼られていた。夢中になって見ている子どもたちの顔!顔!!私たちの舞台がこんなにも子どもたちの心を捉えたなんて、ほんと、感動!!

 アンケート用紙に記された感想も、「野菜食べるようにします」「野菜の大切さがわかりました」って言葉がぎっちり、「面白かった!」「また来てください」さらには「私もお芝居がやりたくなりました」とか、「置農に入って野菜作りを勉強したいです」なんて書かれると、もう、嬉しいの通り越して有頂天だね。

 さて、アンケートの中に、気に入ったシーンやキャラクターは?ってのがある。子どもたちがどんなキャラや場面に心を動かされてるかを知ると同時に演じる部員たちの励みにしようと設定された質問だ。今回の子どもミュージカルで人気NO1はなんと!なんと!!なんと!!!にんじんさんなんだ。ってびっくりしても、見てない人にはわからない、どんなギャラなのか。

 演じている?のはトシノリ、今まで音響専門できた奴だ。正直言って、下手だ。それもかなり下手だ。いいのかそんなことはっきり言って?!いいんだ、だって当人がそのことは十分わかってんだから。ダンスだってワンテンポ遅れるってことも自覚している。

 なんだってそんなスタッフ専用の奴をキャストにしたか?もちろん置農演劇部は全員キャスト、全員スタッフがモットーだから、舞台は踏んでもらわなくちゃならない、ってこともある。でも、彼の場合はちょっと下心があった。

 それは、これから作る大会作品に女装が趣味って高校生が出てくる予定だったからなんだ。なよっとした感じ、頼りなげな感じ、細い身体、優しい気持ち、どれも彼にぴったりだった。で、ここらでちょっと本格的に経験積ませとこうよ、ってことで今回の抜擢となった。

 うーん、やっぱりダメだ、使えないってのが結論。しかし、だけど、抜群の人気者になっちまったんだ。その秘密は?

 彼の持ち味をそのまま役柄に持ち込んでしまったからなんだ。控えめで、一歩遅くて、みんなから軽視される、そんなキャラクターを作ってみたんだ。例えばこうだ。

 野菜たちの自己紹介。次々進んで、最後いよいよにんじんがしゃべろうとすると、お節介なブロッコリーが、「これ、にんじん」て軽く流しちまう。言いたいことがあって話そうとすると、カボチャとセロリの怖いお姉さんたちから、「にんじんは黙って!」ってぴしゃり。このテンポの遅れ具合といじめられキャラが、子どもたちの共感を呼ぶんだ。

 まっ、ある程度は読んでいたさ、その反響。だけど、大爆笑なんだぜ。それも決してあざ笑いなんかじゃない。頑張れ!しっかり!!って暖かい激励がこもった笑いなんだ。ここまで人気者になるなんて思いもしなかった。

 上手いってことが人々の心を打つわけじゃないってこなんだな。下手だって、いや、彼の場合、下手だから、超人気キャラになれたってことなんだ。

 これは、ほんと救われる事実だよね。下手は下手、下手は隅っこで小さくなってろってことじゃないんだ。下手だからこそ、人の心を動かす。可能性は上手い下手には関係ないってことなんだ。つまり、個性だよ。その人間の持ち味だ。

 これを教育の場で考えるなら、一人一人の個性がしっかり評価されるようでなくちゃいけないってことだ。くれぐれも勉強の成績だけで、人を区分けしちゃいけないってことなんだ。

 うーーーーん、実に教育的だ!!

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