せめて、元旦くらい、正月らしくなんか始めるか。
間違いなく続けられるもの、三日坊主にならぬもの。そりゃ、コント書きだぜ。一昨年まで恒例だったコント大会は今年も無理、って諦めたけど、だったら、せめて風刺コントは月々書き続けて行こうって願掛けてね。
朝酒のほろ酔い加減の中2021コント第1作書き上げた。ちょい、羽目の外し方が不足で、くそ真面目系になっちまったが、それは今の政治に怒り心頭の現れてってことで、勘弁して欲しい。が、コント作者としちゃ2流だな。まっ、年当初ご祝儀、この程度で新年のご挨拶としようか。
次民党候補者公募選考会
会議室。片方に選考委員席、テーブルと椅子3客。3人、男ばかり、の委員が座っている。向かい合って参加者席、椅子のみ2脚。壁には民次党候補者選考会と書かれた紙が貼ってある。
応募者男女1名ずつ2名が入って来る。男性は地元有力者の御曹司、女性は元地方テレビ局のアナウンサー。委員1、慌てて席を立ち、応募者男を迎え入れる。
委員1 どうもどうも、わざわざご足労いただき、ありがとうございます。
男 ほんと、わざわざでいよ。結果はわかってるって言ってたでしょ。
委員1 形、形、形だけのことですから。
女 形だけ?って、どういうことですか?すでに候補者は決まってるってことなんですか?
委員1 いえ、その、形、そう、姿形を大切にいたします、ってことで。
委員2 (1に)おい、君、余計なこと言わんでいい。
委員1 は、はい。
女 姿形ってことなら、私、ですね。昨年まで「お1っち2のサンテレビ」の看板アナウンサーでしたから。
委員1 あぁ、あの色目使いで有名な。
女 あらっ、色目使いだなんて!悩殺アナって言っていただきたいわ。私、有権者を魅了いたしますわ。
と、悩殺ポーズでウィンク。
委員1 ああーん。(と、寄って行く)
委員2 おい、君、席に戻って。
委員3 さっさと始めて、ちゃっちゃと決めちまおう。
ポケットからスマホを取り出し、新着のメールをチェックする。
男 そうそう。どうぞ、質問してください。
委員2 では、最初に。お二人が政治家を志す動機をお聞きしよう。
男 名誉、権力、金、でしょうね。皆さんもそうでしょ。
委員1 そりゃそうですとも。
委員2 おい!
委員1 あっ、失言。
女 そんなものより、人気ですわ。視聴者の、あっ、間違えました。有権者の皆様から慕われることが目標ですね。
委員3 アイドルやったらいいんじゃねえの、おばさんアイドル。結構人気みたいだよ。
委員1 いいですねぇ。老害、後期高齢者集団、ジジイ天国の我が次民党、アイドルで生まれ変わりましょう。
委員2 おい、そりゃわしへの当てつけか?
委員1 いえいえ、そんな。ご老体、
委員2 なに?
委員1 いえいえ、ご老公、
委員2 老、こう?(と、老を誇張して言う)
委員1 いえ、ご長老、
委員2 長、老(と、老を誇張して言う)
委員1 ご重鎮!大立者!お歴々!親分衆!・・・
女 いいわよ、老人で。首相も副総理も幹事長も棺桶に片足突っ込んでるウルトラシニアなんだから。それより、おばさん、って何よ?!妙齢の美女に対して、おばさん!それセクハラ!
委員3 おい、ねえちゃん。そんなことでセクハラだなんて騒いでると、選考されないよ。女は添え物、触る物、それがうちら次民党だから。嫌なら、さっさと失せやがれ。
女 なんか、柄悪いですねぇ。反社の方みたい。
委員3 あったりまえだ。反社と芸能人は大切なお仲間だ。反社、芸人、後援会のために税金使ってお花見会やってるくらいだからな。議員だって、ヤンキー、アイドル、ヘボ女優、炎上ヘイターに追従記者、いろいろいるんだ。二世議員と土建屋の親父とおべんちゃら官僚だけじゃないんだよ、次民党は。地盤、血縁、金満、人気がすべてだ。
委員2 おいおい、そりゃ言い過ぎだ。
委員1 そうですよ、最初からばらしちゃだめでしょ。
女 (力強く)ですから、そんな次民党を立て直そうと、ここに来てるんです。
委員3 ダメ、ダメ!正義感とか責任感とかいらない。うちにゃ一番似合わないものだから。
委員1 そう。党員なりたきゃ票もってこい、ってことで。
女 ですから、女性層の票を掘り起こして、新風を、
委員2 掘り起こさんでいい。
委員1 そう、埋もれているものはそのままそっと、寝かしておく。
委員2 それが我が党圧勝の秘訣だ。
女 でも、それじゃ、
男 票なら任せてくださいよ。うちの社員と関連会社合わせれば、1万は固いですから。
委員3 それと金な。パー券押し付けて稼ぐ。
男 えっ?後援会パーティって、持ち出しなんじゃないんですか。桜前夜祭みたいに、会費5000円集めて、飲み食いさせて差額1万円は議員持ち。
委員1 はははっ、それはたっぷり資金集めてる有力議員の話し。総理とか幹事長とか派閥のトップとか。
女 てことは、金持ちしか上に立てない?
委員2 当然。
女 でも、どうやって資金を集めるんですか?
委員1 そりゃ、あなた、献金よ、献金。見返り求めて袖の下。
女 そんなぁ!
委員2 (女の戸惑いを無視して)では、君たちの特技を披露してもらおうか。
女 私は、アナウンサーですから、話すことですね。視聴者の心をしっかり掴む弁論さわやかに、理路整然演説滔々、任せてください。
委員2 いらん、そんなもの。
女 えっ!そんなもの?!
委員3 官僚が書いた答弁読めばいいんだ。自分の言葉なんていらない。漢字の読みだって、間違はなきゃいけない。
女 えっ?間違えるんですか?わざと。
委員1 そう。首相や副首相より上出来じゃまずいでしょうが。今、党内の流行り、訥々、ほぞぼそ、つっかえつっかえの話し方。菅流ね。で、最後には必ず、「それは当たらない」か、「お答えを差し控える」って付け加える。それが定法。
委員3 昨年までは、ぺらぺらと口から出まかせ、無関係な話題をしゃべり続けるってえのが、流行だったがな。ウソ八百は無理でも、ウソ118は目指さなきゃダメだ。
委員2 上を立てる。上に従う。それが我が党一番の倫理項目だ。
委員1 世の中じゃ忖度、なんて言ってるけどね。
委員2 (男に)で、君の方は?
男 SNSでの発信が得意です。
委員2 なんだ?君は困ったことがあるのか?
男 はぁ?
委員2 SOSを発信してるのだろ?
男 違います。ツイッター、フェースブック、インスタグラム、なんでもござれってことです。
委員2 ほほー!それはすごい。そんな先端機器をすべて使いこなせるってことか。
男 いや、ですから、・・もう!
委員1 冗談ですよ。テスト、テスト、試しただけですよ。
男 何が!
委員3 SNS重要だ。トランプみたいにあることないことツイートしとけば、世の中、適当にフォローしてくれる。うちだって、とっくに取り組んでるさ。電通とかパソナに丸投げして。
委員1 決まりですね。こちら(男)、地元の有力企業の御曹司、コネあり、金あり、知識あり。
委員2 そういうことだな。
女 私は、私はどうなんですか?皆さんが欲しい女性候補ですよ。
委員3 女ならなんでもってわけにゃいかんさ、うちは。女性としての大切な資質を持った人間でないとね。
女 どういうことですか?
委員1 簡単に言えば、男に逆らわない。可愛い女、優しい女、気の利く女、主張しない女、ってこと。
女 ・・・
委員2 (男に)では推薦書を、
と、携帯に電話がかかって来る。委員2、電話に出る。
委員2 あっ、はい。今、・・・えっ!それは!そうなんですか。・・・わかりました。
電話を切る。
委員2 (男に)あっ君も残念でした。
男 えっ!どうしてですか?今、推薦と、
委員2 凸山先生から、君の父君は凹下派に献金しておるから候補として認められん、ってクレームがついてな。
委員1 凸山派から、そりゃダメだ。
委員3 我が次民党の第2の規範!派閥均衡!!これは破れないなっ。
男・女 政権交代しかないっ!
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます