泡 盛 日 記

演劇人(役者・演出家)丹下一の日記です。

「だって知らないもん」とは言えない時もある

2018-05-08 19:08:40 | 丹下一の泡盛日記

お弁当に入れた鮭の半分を炒飯に。
前夜、テレビで高岡を見てとろろ昆布のお汁が欲しくなり。
断酒は一日で終了(^o^;;;;
先週の能舞台でのプレイバックは楽しかった。
久しぶりにナラティブVもやらせてもらったし:)
能舞台に立つには白足袋を履く必要がある。
それ以外は、基本的に「禁止」。
もちろん明確な理由がある。
銕仙会での「古事記」公演で、特別に「黒」足袋を許していただいた。
とも黒の足袋はたくさん持っているが、敬意を表して新品を購入し使った。
「死者の書」では白足袋。
今回、「能舞台だから白足袋を用意」とプレイバッカーズのメンバーにも事前に伝えた。
もちろん、大分の能舞台でもパフォーマンスしているから、本来は必要ないことだけど、念のため。
「そんなの知らないもん!」と白足袋を持参しなかったら、舞台には上がれない。
公共のホールなどで素人たちが「知らないもん!」を連発する姿を見てきた。
ホールのスタッフは、しかたなくなんとかしようとする。
だが、能舞台は別だ。
「知らないもん!」と叫んでも「舞台には上がれません」と回答されるだけだ。
能舞台は、基本的にプロのもの。
ルールを「知らない」素人が上がるべきではない場所。
話は飛ぶが、明治になったばかりの頃、台風で漂流した日本の船が台湾に流れ着き現地住民(中国系ではない)とトラブルになり殺害された事件があった。
ただちに救出に、と騒ぎになった。
本来は周辺諸国に「出兵」を告知すべきだったのだけど、明治政府は何もしなかった。
政府がぐずぐずしているうちに、ある人が政府の許可なく勝手に船を出し台湾まで行ってしまった。
国際法も何もあったもんじゃない。
船を出した人は「そんな外交ルートなんて、知らないもん。よかれと思ってやっただけ」と言うのだろう。
劇場に来る素人と同じだ。
ある人が「憲法9条があるから他国が日本に攻めてこないというなら、台風は日本に上陸するなと憲法に書いてもらいたい」と語ったそうな。
残念だ。
人災と天災は違うだろう、と思う。
そして、「元寇」は、当時の人々(その人は鎌倉時代の人ではない)にとっては「天災」だったのだろうと思う。
「元」という国を知っていたのだろうか?
戦闘前に来日したかの国からの使者を鎌倉幕府は処刑したのだけど、それは外交的にどんな意味を持つことになるのだろう?
「知らないもん!」と答えるのだろうか?
実際、知らなかったんだろう。
全てが「想定外」だったのだろう。
そして、ただただ怖い中、鎌倉時代の武士たちは必死に闘ったのだろう。
「神風」が吹いて、元の軍船は海に沈んだ。
全員が溺死したわけではなく、二千人ほどの多国籍の兵が浜まで泳ぎ、捕虜になった。
その全員を処刑したそうな。
「だって外人って怖いんだもん」とでも言いながら、なんだろうか。
コメント
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