Days of taco

やさぐれ&ヘタレtacoの日常と非日常

鮮やかな跳躍のために

2006年12月10日 | 読んでいろいろ思うところが
日々生きてると、さまざまなコトが起こる。
大体は能天気にやり過ごしているが、
たまにシャレにならないような事件が起こったりする。
それは一日24時間の中でもそうだ。
平穏な時もあれば、苦しい時もある。
狂おしいときもあれば、思考停止の時もある。

ジョン・アーヴィングの小説を読むとそんな感じがする。
『ガープの世界』とか『ホテルニューハンプシャー』
『サイダーハウスルール』など、
生の隣に死があり、喜びのあとに絶望がある。

あと成瀬巳喜男の映画もそうだ。
『浮雲』とか『おかあさん』とか『稲妻』『流れる』などなど。
笑いがあり、涙があり、ドロドロの感情が渦巻いたりする。

すぐれた映画とか小説というものは、
人生を鮮やかに切り取ってくれるものだと思う。

「俺は本を読む、映画を見る。
もっともっと、今より沢山、読んで、見る。
でもそれだけじゃ駄目だ。体験する。
この世界の、この現実のあらゆることを身を以て体験し、
そして痛みを知る。感動を知る。失敗も成功もなにも恐れない」


大槻ケンヂ「グミ・チョコレート・パイン/パイン編」の一節だ。
何をやらせても冴えない、主人公の高校生が、
最後の最後にたどり着く結論が、これだ。

 江口寿史のカバーイラスト、滝本竜彦の解説文、ともに出色です。

痛みと感動。失敗と成功。
そうした感情が自分の中に眠っていることを
久々に思い出した。
痛まないように振る舞い、感動した自分を恥じ、
失敗を恐れ、成功なんて無理だよ、とうそぶく。
なぜそんな生き方を選んでしまうのか。
そのほうが楽だから、だ。おそらく。
単調でつまらない日常の方が、楽なのだ。
「楽」という字は「楽」しいという字でもあるから、
きっとみんなそうなのだろう、自分も含めて。

でもそんな日々を送っていると、
あまり心がざわめくことがない。
いい意味でも悪い意味でも。
ドキドキしながら、大変な思いをして、
できるかどうかわからないことをし続けるなんて、
疲れるし、かったるいし…。

そんな気分に喝を入れるために、この小説は存在する。
思い出せ。かつて心を騒がせたことのある人たちよ。

最近、なぜか本や映画にやたらに感動してしまうのだが、
この「パイン編」のラストの数行は素晴らしい。ほんとに。
読んだ人はすべて、この数行に書かれている「もの」をめざして、
心を体を奮い立たせるはずだ。
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2 コメント

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Unknown (でんきさん)
2006-12-15 00:06:26
人間は感じるために生きているのだ。
いや、
生きるってのは感じることなんだ。
っていうのは、
かつて、どーせ死ぬんだし人生って意味ないじゃん、
って思ってた俺が、大人になって思ってることです。
大切なのは、瞬間をなまけないことだ。
それが、ちょーむずかしい。
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Unknown (taco)
2006-12-15 22:02:55
なまけるって楽だしなあ。
死ぬまで生きれる、と奥田民生が歌ってましたが、
それくらいの意気込みがいいかな、と。
返信する

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