ジョセ・ジョヴァンニ監督
「ベラクルスの男」を見る。
フィルムノワール映画祭で上映された1本とはいえ、
フレンチの香りもノワール独特の暗さもない。
メキシコが舞台だし、これはもう西部劇というか、
マカロニウエスタンの影響大と見る痛快作。
現大統領派と革命派が対立している南米の国。
リノ・ヴァンチェラは革命派に雇われた殺し屋である。
夫人が住む邸宅の向かいで
革命派が大統領に担ぎ上げようとする
ミゲルという青年(初代大統領の孫)と共に暗殺の計画を練る。
いかにも青二才なミゲルを小馬鹿にするヴァンチェラだが、
実は優しい心根の持ち主だということがわかってくる。
革命戦争にありがちだが、
結局、革命派のなかで権力争いがあり、
現大統領を暗殺したはいいが、ミゲルは邪魔者となり
命を狙われるところで、頼りになるのがヴァンチェラ。
二人で逃げるクライマックスでの銃撃戦が見もの。
ヴァンチェラを狙う
革命軍のチンピラ兵士がいい味を出していて、
このチンケな悪役が最後の最後に
場面をさらう痛快さといったらない。
アルドリッチの「ロンゲストヤード」のラスト、
主役のバート・レイノルズに
銃口を向けるエド・ローターみたいだと言っても、
誰にも伝わりませんな。シネフィルの戯れ言ですみません。
ともあれ、
南米諸国の独立や革命運動を背景にした西部劇であり、
実際の歴史を頭に入れながら見ると、
一層面白く見られるのではと思ったりする。
ジョセ・ジョヴァンニって
ドロン主演の暗い暗い犯罪映画ばかりの監督だと思っていたけど、
こんなに明るくて開放的な映画も撮っているんだなと。
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