Days of taco

やさぐれ&ヘタレtacoの日常と非日常

いまわのきわに

2024年05月25日 | 映画など
リチャード・フライシャー監督
「ソイレント・グリーン」を見る。
51年前のSFディストピア映画が
まさかのデジタルリマスターでリバイバル。
おお。人間のすべての感情、
喜怒哀楽が詰まっている映画ではないか。
つまりは、傑作ということです。


時代設定は近未来の2022年。
2024年のいま見ると、このディストピア観は
ほぼ的中していたと思っていい。

爆発的な人口増加と気候変動により、
人々は住む場所を失い、食料難となる。
ものすごい格差社会で、ごくごく一部の富裕層と、
喰うのにも事欠く人々がうごめく地獄絵図。
って、なんか今の世の中もこの映画通りになっている気がする。

食料難のため政府が配給する
ソイレント社という、政府と癒着しまくりの
大企業が製造する栄養食品に群がる人たちが
十把一絡げに扱われていく。人を人とも思わない
腐りきった富裕層どもが、若い女性を奴隷のように使役する。
パワハラもセクハラもモラハラもやりたい放題。

主人公の刑事を演じるチャールトン・ヘストンがいい。
殺されたソイレント社の幹部の男の調査をしつつ、
その男の部屋にある食い物をちゃっかりせしめて
「肉なんて喰うのは久しぶりだ」と悦に入り、
男が囲っていた美女もついでにモノにする。
ギラギラした悪人ヅラをするヘストンが
こんなに魅力的だとは。見直しましたよ。ほんと。

地獄のようなこの世界に愛想が尽き、
ヘストンと同居する老人が、安楽死ができる施設に行く場面が
本作の白眉。とんでもなく美しくて残酷な死を遂げるのだ。
老人を演じたエドワード・G・ロビンソン。本作が遺作のようで、
なんという映画を最後に残してくれたんだと嘆息。
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