Days of taco

やさぐれ&ヘタレtacoの日常と非日常

Deko_chan My Love

2016年04月10日 | 日々、徒然に

図書館で借りた「ユリイカ」の

デコちゃん(高峰秀子)の追悼特集を読んでいたら、

これは借りるのではなくて、買うべきだろうと強く思う。

冒頭、名文家としても知られたデコちゃんのエッセイが

何本か収録されているのだけど、黒澤明監督への追悼文が

愛情たっぷりでありながら、湿り気のない、きびきびとした文章で。唸る。

他にも吉田喜重監督や、神様候補(二階堂ふみ)のインタビューなどもあって、

やはりじっくり味わいながら読むべきだろうと。

だから明日、返そう。単純に返却日ということもあるけれど、

本は買って手元にないと。

 

で、デコちゃんの黒澤監督の追悼文だけど。

山本嘉次郎監督を偲ぶ会で、何十年かぶりに再会したふたり。

助監督時代の黒澤監督と一時期恋仲にあったというデコちゃんは、

再会を果たしたとはいえ、話題に困り、

最近見た黒澤の新作の話を始めるのでした。以下、引用。

 

「デルス・ウザーラ、観た」

「そう」

「ロングショットが多かったネ。人物もバストがせいぜいだった。どうして?」

「ボクね、なんだかクローズアップを撮りたくなくなっちゃったんだ」

「なぜ? 役者が下手だから?」

「いや、そんなことはないけど」

「ないけど、なにサ?」

「つまり、アキちまったんだね」

「そうか…つまり、トシとったっていうことね」

「ま、そういうことだ」

 (高峰秀子・著「にんげん住所録」文春文庫より)

 

デコちゃんは黒澤作品には一本も出ていない。

「デルス・ウザーラ」以降、枯れた作風になった黒澤作品に

デコちゃんが出ていたら、と思ったりする。

「八月の狂詩曲」とか「まあだだよ」とか。

 

 

 

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