Days of taco

やさぐれ&ヘタレtacoの日常と非日常

いとしのトムさん

2009年03月22日 | 映画など
ベン・スティラー監督『トロピック・サンダー史上最低の作戦』を見る。
お馬鹿でお気楽な戦争コメディかと思いきや、
『地獄の黙示録』と『ランボー』を足して2で割り、
かなりきついシャレを入れ込んだ重喜劇といった風情。



ベトナム戦争を題材にした映画のロケで、
やる気のない役者たちに本気を出させるために、
本物のゲリラに遭遇させるという、無茶というか乱暴な設定。
落ち目のアクションスター(ベン・スティラー)や、
偏屈なオスカー俳優(ロバート・ダウニーJr.)、
ヤク中のコメディアン(ジャック・ブラック)たちが織りなす大騒動を楽しむ映画だが、
意外とストーリーはまともに進む。
俳優という職業に目覚めるベン・スティラーを始めとして、
「どうしようもない奴」から「前向きに頑張るいい奴」に変わっていく登場人物たち。
ずいぶん捻ったヒューマンドラマという感じすら覚える。

だが、そんなヒューマンな印象をぶちこわすのが、
映画のプロデューサーを演じたトム・クルーズだ。
ハゲヅラでジャック・ブラック顔負けのデブ体型で、
四文字言葉を連発しながらがなり立てる怪演。
トム・クルーズは、こういう馬鹿演技をさせると、実に素晴らしい。
『マグノリア』で演じたセックス教の教祖に繋がる大馬鹿演技である。
役者根性があることはもちろん、
二枚目のスーパースターであることを
思い切り否定したいかのような馬鹿っぷりに惚れ惚れする。

以前、イーストウッドの映画がなくなったらアメリカ映画は終わる、
という小林信彦の言葉を引用したが、
トム・クルーズが頑張る限り、
この国の映画は、まだまだ大丈夫という気がしてきた。


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