Days of taco

やさぐれ&ヘタレtacoの日常と非日常

おっさんの出る幕

2020年12月14日 | 読んでいろいろ思うところが
ブレイディみかこ
「ブロークン・ブリテンに聞け」(講談社)を読む。
日本の一歩も二歩も先を歩きながらも、
混迷をきわめる英国の姿をブレイディさんが活写する。



ブレイディさんの本を読むときは、
マンチェスターあたり(行ったことないけど)のやさぐれたバブで、
黒ビールをアホみたいにあおりながら、中指立てて、
贔屓のサッカーチームを応援し、
オアシスの「ワンダーウォール」を大合唱し、
名詞にはすべて「ファッキン」という
形容詞をつけるようなおっさんになった気分で読む。

でも、本書を読むと、
そんなおっさんはとんでもなく時代遅れで、
今や英国のハイソな人たちは、
明るく健康的で、オーガニックな料理を出す
フードコートでワインなどをたしなみながら、
お上品にW杯などを観戦しているという。
おっさんたちが飲んだくれるパブ自体、
コロナの影響もあり、どんどん閉店の憂き目に遭っているという。

ブレグジットな彼の国では、
富める者と貧しい者の分断が果てしなく続きながらも、
ポリコレや人権への意識が高く、
移民やLGBTQ、シングルマザーといった
社会的な弱者となりがちな人たちを支援する動きも活発だ。
またそれを押さえつけようとする勢力もあり、混迷を極めているというか。
分断とは言うけれど、右なのか左なのか。
そのあたりの区別もたいへんつきにくい。

弱者救済を唱えながらも、その弱者の人権を
根本的なところで認めていない、
あるいは気づいていない左派な人たちがいる。
弱者は可哀想、という観点から脱却できず、
その弱者が自発的に声を上げると
途端に冷淡になる傾向に警鐘を鳴らす。

日本も住みにくいけれど、英国も大変そうだ。
ましてやコロナ禍の世の中。
どうやって生きていくかだけで精一杯のなかで
しばし立ち止まって考えるきっかけの書、というか。


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