キャリー・ジョージ・フクナガ監督
「007ノー・タイム・トゥ・ダイ」を見る。
コロナ禍のため、公開が延期に次ぐ延期で、
ようやく見ることができたというか。
ダニエル・クレイグのボンドシリーズは、
物語が緊密に繋がっているので、
前作までの内容を把握していたほうが楽しめるんだろうな。
でも、律儀に見直してこの新作を見るような
真面目さに欠けている自分は、
「この人、見覚えあるけど、どんな役だっけ?」と、
脳味噌がまともに働かないにもかかわらず、
それなりに楽しく見たという。
いかにも007だなあと思うのは、
ボンドがクルマを走らせていると、
いつの間にか、追っ手のクルマやバイク、
ヘリなどが現れてチェイスが繰り広げられるところ。
なんとも安定の展開というか。
危機一髪の場面で安全安心な気分になる。
ダニエル・クレイグのボンドは
とてもハードでシリアスなキャラ造型なので、
荒唐無稽なアクションを楽しみつつ、
ここ笑っていいところなのかな、と戸惑うのはいつものこと。
ボンドガールのマドレーヌは、
子供の頃に親を殺されたという過去を持ち、
その殺害犯である細菌テロリストのサフィンとの因縁が語られる。
サフィンの秘密基地はなんと日本とロシアの国境にある島。
明確に千島列島と名指しされることはないけれど、
日本人にとっては、なんともデリケートな地点がクライマックス。
サフィンが妙ちくりんな日本趣味なのも笑うところなのだけど、
彼がまとう狂気性とのギャップに身悶えする。
ラミ・マレックはボンド映画の悪役では
史上最凶のヤンデレぶりだと思う。
ボンドガールといえば、
キューバでともに戦う新米のエージェントが
ちょっとペネロペ姐さん似のラティーノ美女で
アクションにもキレがあり、なかなかの存在感。
いったん引退したボンドの代わりに007の番号が
割り当てられた黒人女性のノーミもいい味が出ている。
レア・セドゥはボンドガールと言うよりは、
ヒロインと言った方がいいのかもしれない。
感情豊かで強くもあり弱くもある等身大の女性という感じ。
そしてダニエル・クレイグ。彼のボンドは本作が最後か。
ちょっと強面すぎると思っていたけれど、
今までになかったボンドを見せてくれました。
そして本作もこれまでの007では
ありえないラストを見せつけられて、驚愕してしまったのです。
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