Days of taco

やさぐれ&ヘタレtacoの日常と非日常

河よりも長く山よりも高く

2022年03月24日 | 読んでいろいろ思うところが
吉田秋生「詩歌川百景」第2巻を読む。
1年半ぶりの新刊だから、
すっかり内容を忘れているのはいつものこと。
第1巻だけでなく「海街diary」の最終刊に
収録されている番外編が本作のプロローグになっているので、
そこから読み直す。おかげさまで作品の世界に
どっぷり浸かることができました。


主人公の和樹は、実母に棄てられた過去がある。
大叔父夫婦に育てられたあと、
老舗の温泉旅館「あづまや」で湯守の見習いとして働いている。

和樹の幼馴染みの類と剛、
そしてふたつ下の女の子で
あづまやの大女将の孫である妙(たえ)。
この3人を中心に、片田舎の温泉街で
濃厚で複雑な人間関係が渦巻く。

きりっと一所懸命生きている人もいれば、
欲望のおもむくままに暮らしている人もいる。
彼ら彼女らは悪人ではないが善人とも言えず、
みんなそれぞれの思いを秘めて生活している。

そうした人々の思いが
たまにほとばしる場面があるのが吉田秋生の真骨頂。
その絶妙な語り口で、あるときは笑わせつつ、
あるときはしんみりさせながら、
狭い温泉街に生きる人たちを描き切ろうとしている。

まだ2巻で、
このあとどれくらい続くかはわからないが、
「海街diary」との物語の繋がりもあり、
昔からのファンはみんな喜んでいると思う。

1年後か2年後に3巻が出たら、
どうせ、きれいさっぱり忘れているだろうから、
そのときは最初からまた読み直します。
それはそれで楽しいというか。
記憶力が衰えても、悪いことばかりではないのです。
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