Days of taco

やさぐれ&ヘタレtacoの日常と非日常

いとしの可憐

2023年05月20日 | 映画など
ジョージ・キューカー監督
「マイ・フェア・レディ」を見る。
言わずと知れた名作中の名作。じつはこれまで未見。
シネフィルって何でも見ているようで
大して見ていないのです。とまあ自虐モードはともかく、
え、こんな映画だったの? 
と驚愕することしばしばだったという。


言語学の権威であるヒギンズ教授が、
下町生まれの下品な言葉づかいをする
花売り娘のイライザを
一人前のレディに育て上げる
ストーリーはあまりにも有名だ。

でもね。2023年のいま見ると、
階級が上の者が下の者を見る視線に
明らかな差別意識があるし、
男性が女性を教育、悪く言えば「調教」する物語でもあるわけで、
いまこういう映画をつくるのは
けっこう難しいのではないだろうか。

さらにヒギンズ教授を演じる、
レックス・ハリソンの芝居が、
なんともパワハラ気味でおっさん然としているところ。
本作でオスカー男優賞を獲ったというのも不思議。
レックス・ハリソンは本作の元となった舞台でも
同じ役を演じているので、ずっとこういう人物像だったんだな、と。

尊大なヒギンズ教授が、
美しいレディになったイライザに惚れるのは
なんとなくわかる。でも、イライザの方も
こんなおっさんに惚れるかなあ。どうなんでしょう。
そんなことを思ってしまうのは、
本作のオードリーが素晴らしすぎるからかもしれない。

じつは、オードリー・ヘプバーンという女優は
個人的に苦手だったというか。
たしかに「ローマの休日」も
「麗しのサブリナ」や「昼下がりの情事」も
「ティファニーで朝食を」「シャレード」も映画史に残る名作だけど、
素敵だなあ、可愛らしいなあと思ったことはあまりなかったのです。
ヘプバーンといったら、断然キャサリンでしょう。ケイトでしょう。
とうそぶくお馬鹿なシネフィルに成り下がっていたのです。

でもそうか。本作を見ていなかったから
そう思いこんでいたんだなと。
それほど本作のオードリーは素晴らしい。
下品な言葉づかいをする粗野な娘と
気品あるレディの演じ分けの見事さもさることながら、
可憐という言葉はこの人のためにあるぐらいの佇まい。

そんな素敵な女優さんが、
こんな尊大なおっさんに惚れるなんて、勘弁して頂戴。
と思ってしまったのですよ。
映画のヒロインに嫉妬してしまってますな。
アホな感想ですみません。

ともあれ、オードリーの魅力を最大限に活かした
キューカー監督の明るくテンポのある演出と
ミュージカル場面の華やかさに
うっとりするに限ります。名作なのは間違いないです。
コメント
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