Days of taco

やさぐれ&ヘタレtacoの日常と非日常

長いものには巻かれろ

2022年08月22日 | 映画など
ジョン・フォード監督
「若き日のリンカーン」を見る。
なんという名作。そしてヘンリー・フォンダの
なんという足の長さ。スタンダードサイズの
スクリーンでは狭すぎて、今にもはみ出しそうだ。


エイブラハム・リンカーンが政治家になる前、
弁護士だったのは有名な話で、フォンダは、
まだ若造でペーペーの弁護士を演じている。
独立記念日の祭りの夜、
ケンカで保安官が殺され、
容疑者として2人の兄弟が捕まる。
兄弟はお互いをかばい合って、自分の方が殺したと主張しており、
その真相をつかむべく、若きリンカーンが活躍する。

と書いたが、リンカーンはそんなに活躍しないのである。
ただ、兄弟の母や妻と交流し、優しい言葉をかけたりするだけで、
いきなりクライマックスの法廷で名推理を働かせ、
真犯人を暴き出す場面のフォンダの存在感。
あまりにもハンサムかつ長身長足で
しかもこれだけスマートな物腰の男が言うことは、すべて正しいはず。
そしてどんな難問も解決してくれるだろうと思わせてしまうのだ。
映画の登場人物はもとより、見ている観客も含めて。

そういう意味で、この映画のフォンダは、
鞍馬天狗とか座頭市、ブルース・リーやジャッキーのように、
お約束のキャラクターに近いものがある。
登場するだけで、この人は主役で強い、
そして正しい、何をしても許される。
と思わせてしまうほどの説得力が、全身から漂う不思議。

陽気で弾むような演出のもと、
抒情的な風景がアクセントとなり、詩的なイメージが広がるのは、
まさにジョン・フォード映画ならでは、というか。
そこにヘンリー・フォンダが加わると、ここまで神々しくなるとは。
そういえば「怒りの葡萄」も「荒野の決闘」もそうだったなあ、と
シネフィルは溜息をつくばかりだったのです。

コメント
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