Days of taco

やさぐれ&ヘタレtacoの日常と非日常

桃色の家のなか

2021年06月27日 | 映画など
ダニエル・ロアー監督
「ザ・バンド かつて僕らは兄弟だった」を見る。
この人たちのドキュメンタリーと言えば
スコセッシの「ラスト・ワルツ」にとどめを刺すわけで、
あれ以上の記録はないだろうと
思っていたところに本作の公開。


ロビー・ロバートソンの視点で語られる
ザ・バンドの歩みとその終焉。
そうか彼の目からは、他のメンバーはこう見えたのか、と。
特にリヴォン・ヘルムに対しての視線。
ソングライターとして、家庭人としてストイックな生き方をしていた
ロビーとは反対に、ドラッグに蝕まれていき、
その豊かな才能を潰していくリヴォンの姿が多く語られる。
同じようにドラッグとアルコールに溺れていった
リチャード・マニュエルへの眼差しは温かく、
リック・ダンコやガース・ハドソンへの言及はほとんどない。
ただ一人、リヴォンに対しては、
ロビーが厳しい表情をするところがあったりして、
ふたりの間に相当な確執があったことは、想像に難くない。

ザ・バンドは「ラスト・ワルツ」のあと解散となり、
その後、何度か再結成したけれど、
ロビーが加わることはなかったわけで、
どうしても許し合えないものがあったのだろう。
本作は、生前のリヴォンとはついに和解できなかった
ロビーの贖罪の意味も込められているのかもしれない。
亡くなってからでは遅い、というツッコミはしないでおきましょう。

見たかったけど、見なくてもよかったような。
そんな複雑な思いがよぎるドキュメンタリーであり、
でもザ・バンドの曲はやっぱり極上だよなあ、と思ったりもする。
インタビューで登場するエリック・クラプトンが
「ザ・バンドに入れてくれ」と、彼らに直談判したらしく、
しかも「リズムギターでいいから」と言ったという
エピソードなどは、どんだけ入りたかったんだよ、
と、微笑ましかったのだけど。

個人的にザ・バンドのメンバーで気になるのは、
リチャード・マニュエルかな、と。
非業の死を遂げた人、ということも大きいのだろう、
「怒りの涙」とか「悲しきスージー」
ディランの「アイ・シャル・ビー・リリースト」など、
彼の魂が突き上がるような歌唱がふんだんに聞ける
「ミュージック・フロム・ビック・ピンク」は
いつも聞き入ってしまうのです。
彼のドキュメント、誰か作ってくださいな。

コメント
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