Days of taco

やさぐれ&ヘタレtacoの日常と非日常

苦渋と凛々しさ

2008年05月31日 | 映画など
クリスティナ・ゴダ監督『君の涙ドナウに流れ ハンガリー1956』を見る。
1956年に起こった「ハンガリー動乱」を描く。
共産主義国家からの弾圧に戦いを挑む若者たちの人間模様を、
骨太のタッチで描き切った大作であり、
センチメンタルな邦題に惹かれて見ると、
度肝を抜かれること間違いなし。
これは「戦い」の物語である。


Szbadsag, szerelem(2006)

オリンピックの水球選手であるカルチは、
民主運動に身を捧げている女子学生ヴィキに一目惚れ。
そのヴィキを守りたいという一心で、
ブダペストで起こった民衆の蜂起に参加することになる。

史実によれば、蜂起はソ連軍により弾圧され、
数千人の市民が犠牲になったという。

銃撃戦で仲間が次々に死んでいく中、
それでも戦いをやめないヴィキの凛々しさ。
そして、彼女の身を案じながらも、オリンピックに出場。
戦いに参加できないカルチの忸怩たる思い。

立場の違うふたりを主人公にしたのは、
当時のブダペスト市民の心中を表しているのだろう。
自由を求めて戦う人々がいる反面、
さまざまな事情で戦うことができず、
保守的にならざるを得ない人々もいたはずだ。

戦って死ぬのは美しい。
しかもそれが「自由」のためであればなおさらだ。
しかし、家族など、守る者を抱えた人はどうなのか。
戦いたくても戦えない、
そういう人たちを安易に非難することもできない。

きっと当時の動乱を覚えている人なら、
主人公たちのどちらにもシンパシーを覚えるはずである。

戦って死ぬか。
それとも戦わないで逃げて生き延びるか。
僕はどちらも支持できないし、否定も無理だ。

これがアメリカ映画なら、
戦って、生きろ。というメッセージ性を帯びるだろうが、
そんなスーパーマンなど出てこない
ハンガリーのこの映画は、複雑な思いを見る者に与える。




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息の仕方を知ってるだけでも奇跡だぜ

2008年05月31日 | 日々、徒然に
懸案だった原稿をまとめて、版元に送る。
少しずつだが、進んでいる、と信じたい。
7月に出る本のために、邁進せねば。

と思いながら、夕方から
N氏やF氏といつものT酒場に。
資料本をめくりながら、企画の話をいろいろと。
話は流れ流れてN氏のアナザーサイドを聞き、驚愕。
そうなのか、そんなに面白い人生を送っていたのか、
と羨ましくなる。そうなのか、そういう生き方もあるのか。
自分とは全然違うなあ、と。人に人生あり、だ。
ビールからワイン、そして焼酎と、
酒の種類が次から次へと変わるのだった。

酩酊状態で、電車に乗る。
iPodで最初に聞こえてきたのが
ディランの「愚かな風」。

息の仕方を知ってるだけでも奇跡だぜ。

そうシャウトするディランに、
思わず恐縮する酔っぱらいの自分。
「愚かな風」のあとはU2の「ディザイア」。
追い打ちをかけないでほしいのだが。

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