連れ合いには子供がいる。連れ合いと一緒になったときには大人になっていたから、俺の存在をどう思ったから判らないが、親しく語り合いをするなんて雰囲気ではなかった。
俺自身が再審の活動で全国を歩き、茨城県南の利根町で働いていたこともあって、余り水戸にいる時間も多くなかった。話す機会が少なければ親しくもならないが、それでも水戸に住む息子とは男同士のこともあって、昨年辺りにはファーストネームで呼び捨てる関係になっていた。しかし、娘の方は、彼女が水戸にいなかったり、外国へ行っていたりしたせいで、一緒にいると気詰まりな思いのするような関係だったが、昨年末辺りから、その関係が変わり始めた。彼女自身が成長したせいもあるし、俺が再審を実現して余裕が生まれたせいもあるだろうが、やっとファーストネームで呼べるようになった。
昨夜は、久し振りに4人が水戸にいたので夕飯を一緒に食べた。食材は、救援会の山形県の人から贈られた義経焼の羊肉。俺は、それを肴に飲んだが、あれこれと作り方で言い合ったり、話したりしていて、これが家族なのかなぁと、初めて味わう思いを感じた。